『チェンソーマン』のヒットは独特のファン層にある?“ジャンプらしくなさ”が熱狂を生んだ

10月スタートのアニメも注目の『チェンソーマン』。漫画が更新されるたび、SNSのトレンドに入るほどの世間を賑わせている本作、その理由は「週刊少年ジャンプ」らしくない独特のファン層にある?

2019年から『少年ジャンプ』にて連載されていた、藤本タツキ先生による『チェンソーマン』。

人々の生活を脅かす存在・悪魔。本作の主人公はそんな悪魔のひとつ「チェンソーの悪魔」であるにも関わらず、悪魔を退治するデビルハンターとして奔走する少年・デンジの活躍を描いた作品です。

TVアニメ『チェンソーマン』キービジュアル

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個性的かつ独特の世界観や、勢いのあるタッチ。そして何よりも先の読めない破天荒なストーリーが魅力でもある本作。第一部連載中である2020年から徐々にその注目度が高まり始め、「このマンガがすごい!2021」オトコ編・第1位や「第66回小学館漫画賞」などの名だたる賞も受賞。

2021年の完結時には今回の終幕が第1部「公安編」の簡潔であること。あわせて2022年のTVアニメ化や、続編「学園編」の連載も発表され、大勢のマンガ好きの注目を集めていました。上記のようにたくさんのファンの期待を受け、今年7月からは第2部「学園編」が『少年ジャンプ+』にて連載開始。そして10月からは待望のTVアニメも放送スタートとなる『チェンソーマン』。

なぜこの作品が、ここまで大きなムーブメントを生み出しているのか。その理由として本作が「少年ジャンプらしくない作品」であることが、最たるポイントなのではないかと考えられています。

※記事の特性上、原作の内容に多少触れています。

“少年”だけじゃない。『チェンソーマン』の独特なファン層

本作の大きなポイントともなる、「少年ジャンプらしくない」要素。それが如実に表れているのは、作品を主に支持しているファン層とも言えるでしょう。元々の『週刊少年ジャンプ』はといえば、やはり雑誌名の通り少年=10代がメインの読者層、というイメージの人もまだまだきっと多いはず。

ですが作品を楽しむ人々を見ていると、そんな『少年ジャンプ』の印象からはやや離れた層のファンも、大勢『チェンソーマン』を楽しんでいる姿が見受けられます。まず『チェンソーマン』のファン層としてひとつ印象的なのは、いわゆるマンガのみならず音楽や映画、アニメ、ファッションなどのカルチャー全般を愛する人々の層。

従来のマンガ好きだけではなく、カルチャーのひとつとしてマンガを愛している、下は10代から上は40~60代の大人まで。年齢を問わずそんな人々からも、本作は熱い支持を受けているのです。彼らがこの作品に注目しているポイントには、マンガの節々から滲み出る作者・藤本タツキ先生のカルチャー的な素養も、大きく影響しているのでしょう。

元々藤本先生自身も、少年・青年マンガのみならず、アニメや洋邦を問わない映画など様々なカルチャー全般の作品を、多彩に好むことを公言しています。

加えて『チェンソーマン』のみならず、先生がこれまで手掛けてきた数々の作品にも、そういったマンガ以外のカルチャー作品のオマージュを盛り込んだものが多数。

それらの作品が、先生と同じようにアニメや映画、音楽などの様々なカルチャーを幅広く好む人々の目に留まり、元ネタの考察や予想などで話題が広がっていく。そんなムーブメントによって人気が高まっていったことが、『チェンソーマン』のひとつ大きな特徴なのかもしれません。

日本だけじゃない。海を越えた世界からも熱い視線を浴びる

そしてもうひとつ、『チェンソーマン』のファン層として非常に特徴的なのは海外の人々。

現在日本のアニメ・マンガ文化は世界に誇る一大勢力ともなっており、大勢の海外ファンが昼夜日本の二次元作品に、熱い視線を注いでいます。

その中でも『チェンソーマン』を楽しみにしている海外ファンの数は、特に群を抜いている様子。

作品公式Twitterの投稿へのリプライや、YouTubeなどで公開されている動画のコメント欄。これらの場所を見ても、その熱い思いや盛り上がりの熱量が、非常によく伝わってくるのではないでしょうか。実は近年『少年ジャンプ』は、特にWeb版である『ジャンプ+』などを主として世界への発信にも大きな注力を傾けています。2023年には、新連載もすべて掲載時に英訳し、各作品の最新話を世界同時配信するシステムも構築中とのこと。そういったジャンプそのものの世界的な取り組みも、海外のファンに喜ばれているポイントのひとつ。あわせて『チェンソーマン』に関して言えば、カルチャー好きの間でも度々話題に上がる洋画・海外マンガのような作品の描かれ方も、海を越えた人々に大きく支持されているのではないでしょうか。『チェンソーマン』の魅力のひとつでもある、見開きを使った大迫力のコマ割りや、疾走感と荒々しさの同居するスピード感を感じさせる戦闘シーン。これらは迫力のある洋画の演出や、欧米のカートゥーン調のマンガにも通ずる雰囲気を帯びています。

そんな本作のまとう、どこか日本のマンガ離れした独特のムード。それがもしかしたら海外のファンにとっては、どこか馴染みやすさを感じさせているのかもしれませんね。

『チェンソーマン』7巻発売記念スペシャルPV

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怒涛の展開が続く今後の物語も見逃せない

日本の少年たちという狭い層に留まらず、大人も子どもも、あるいは日本だけでなく世界中の人を夢中にさせている『チェンソーマン』。秋から始まるアニメや、現在絶賛連載中の『ジャンプ+』による連載。あるいは過去『少年ジャンプ』に連載されていた第1部「公安編」の単行本など、本作の魅力を知ることのできる入口はたくさん!

もちろん、『チェンソーマン』が盛り上がってくるのはまだまだこれから。ぜひあなたの気になったポイントから、大勢のマンガ好き&カルチャー好きを魅了する本作の世界を、存分に楽しみましょう。

(執筆:曽我美なつめ)

Chainsaw Man - Main Trailer /『チェンソーマン』本予告

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■ 『チェンソーマン』の世界はループしている?黒枠と白枠のコマを見てみると…

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■ 『チェンソーマン』1話の回想シーンを見返すと…ポチタの傷は“あの悪魔”にやられた?

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■ 『チェンソーマン』人気投票結果がカオス!?「実質マキマが第1位」「総合優勝」あの漫画家もなぜかランクイン

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TVアニメ『チェンソーマン』作品概要

【イントロダクション】

『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。

親が遺した借金返済のため、貧乏な生活を送る中、

裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、

悪魔の心臓 を持つもの 『 チェンソーマン 』として蘇る ── 。

【放送情報】

2022年10月 11日(火)24:00よりテレビ東京系6局ネットにて放送開始

(テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送)

※放送日時は変更の可能性がございます

【配信情報】

2022年10月11日(火)25:00よりPrime Videoにて最速配信

2022年10月12日(水)25:00より各プラットフォームにて見逃し配信

※配信情報の詳細は公式サイトをご覧ください。

【スタッフ】

原作:藤本タツキ(集英社「少年ジャンプ+」連載)

監督:中山 竜

脚本:瀬古浩司

キャラクターデザイン:杉山和隆

アクションディレクター:吉原達矢

チーフ演出:中園真登

悪魔デザイン:押山清高

美術監督:竹田悠介

色彩設計:中野尚美

撮影監修:宮原洋平

音楽:牛尾憲輔

オープニング・テーマ:米津玄師「KICK BACK」

挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」

エンディング・テーマ:

ano「ちゅ、多様性。」

Eve「ファイトソング」

Aimer「Deep down」

Kanaria「大脳的なランデブー」

syudou「インザバックルーム」

女王蜂「バイオレンス」

ずっと真夜中でいいのに。「残機」

TK from 凛として時雨「first death」

TOOBOE「錠剤」

Vaundy「CHAINSAW BLOOD」

PEOPLE 1「DOGLAND」

マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」

アニメーションプロデューサー:瀬下恵介

制作:MAPPA

【キャスト】

デンジ:戸谷菊之介

ポチタ:井澤詩織

マキマ:楠木ともり

早川アキ:坂田将吾

パワー:ファイルーズあい

姫野:伊瀬茉莉也

東山コベニ:高橋花林

荒井ヒロカズ:八代 拓

岸辺:津田健次郎【WEB】

公式サイト:https://chainsawman.dog/

公式Twitter:@CHAINSAWMAN_PR(https://twitter.com/CHAINSAWMAN_PR )

©藤本タツキ/集英社・MAPPA

【原作情報】

第二部「少年ジャンプ+」にて連載中! コミックス1~11巻発売中! 待望の最新刊・12巻は10月4日発売!

TV‌ア‌ニ‌メ‌『チェ‌ン‌ソー‌マ‌ン』‌ティ‌ザー‌PV‌

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