【詳報】総費用15億にのぼる可能性も回収は不透明…熱海土石流起点に残る盛り土撤去へ 静岡県の代執行始まる 

2021年7月に静岡県熱海市伊豆山を襲った土石流災害。土砂崩落の起点に残ったままの盛り土を撤去するため、行政代執行が10月11日始まりました。

<和田啓記者>

「ここは土石流が流れ下った現場です。発災から1年3か月が経ち、土砂や被害にあった家屋は片付けが進み、今も解体作業が行われています。ただ立ち入りは今も禁じられています。その原因となっているのが、この上流にある不安定な盛り土です」

<瀬崎一耀キャスター>

「1年3か月前、ここから大きな災害が起こりました。木々の中にある盛り土の不自然な姿は変わらず残っています」

<静岡県 難波喬司理事>

「ただ今から行政代執行法第二条の規定に基づき、行政代執行を開始します」

土石流の起点には今も不安定な盛り土、約2万立方メートルが残ったままです。静岡県は盛り土を造成したとして、前の土地所有者である不動産会社「新幹線ビルディング」に土砂の撤去を求める措置命令を出していましたが、代表はこれを拒否。県は11日、代執行に踏み切り、手始めに草の伐採などが行われました。

土砂撤去にかかる費用は、今分かっているだけでも4億円。最終的に15億円ほどに膨らむ可能性もありますが、前の所有者である不動産会社の天野二三男代表は「自分たちが撤去する根拠がない」などとして措置命令の取り消しを求める訴訟も起こすなど、費用の回収は不透明です。

今も被災地は立ち入ることができない警戒区域に指定されていて、132世帯235人が避難生活を余儀なくされています。県は行政代執行を2023年5月末までに終えたいとしています。

© 静岡放送株式会社