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(参考写真)疲れ果てたのか、農村動員作業の合間に横になって休む女性。2013年6月北部地域で撮影アジアプレス
北朝鮮各地で秋の収穫が始まり、都市住民の協同農場への援農動員が本格化している。今年は動員者に対する統制管理が例年になく厳格な上、提供される食事の量が足りず、動員者たちの不満が強いという。北部両江道(リャンガンド)の取材協力者が、現状を9月21日に伝えてきた。(カン・ジウォン)
◆農村への住民動員徹底を当局指示
両江道の中心都市・恵山(ヘサン)市に住む協力者は、市内の労働者や住民たちは、周辺の三池淵(サムジヨン)郡と雲興(ウンフン)郡に集中的に動員されているとして、次のように状況を説明する。
「市内のすべての工場や企業で、出勤する人員以外の全員を農村に動員することになり、人民委員会(地方政府)が企業別に行き先の農場を指定して送り出している。今年は労働党幹部にも無条件に動員に参加しろと指示が出ている」
農村動員は春と秋の年2回行われる。朝に農場に出向いて夕方に帰宅する「通い型」と、農村で寝泊まりして作業する「合宿型」がある。職場の他、家庭の主婦は女性同盟で、大学生は青年同盟で組織して動員する。
両江道は山地が多くて水田が少ない。今の時期の作業は、ジャガイモ掘りと刈り入れ済みのトウモロコシの貯蔵や乾燥、脱穀作業などが中心だ。
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(参考写真)農村に動員され草取りをさせられている女性たち。2013年6月、北部地域で撮影アジアプレス
◆動員者は空腹で盗みも
さて、今大きな問題になっているのは、動員者たちによる収穫物の盗みや横流しだ。市内の住民は皆暮らしが大変厳しく、動員で農村に出たのを幸いと、泥棒や横領する者が続出しているという。
取材協力者によれば、動員者の食糧の70%は人民委員会が食糧配給券を出して保障し、残りの30%は動員者を受け入れる協同農場が受け持つことになった。だが農場ではまともに食事を出せていないという。協力者は次のように述べる。
「9月中旬に、三池淵郡のある農場に動員された労働者4人が、掘ったジャガイモをくすねて山に入って焼いて食べたことがばれて、4人全員に3カ月の無報酬労働の罰が科される事件があった。三池渕の動員に行って来た人に聞くと、『昨年の農村動員では、間食としてジャガイモを茹でて出すこともあったのに、今年は農場が何も食べ物をくれずに仕事ばかりさせて、まるで農村監獄のようだった 』と、反発していた。動員者の不満は強い」
◆収穫物持ち出しにピリピリ、ジャガイモ1個でも処罰
当局は、収穫期の今、農村から食糧が流出しないよう敏感になっている。軍や統制機関、軍需工場労働者などの優先配給対象に渡す「国家保有食糧」の目減りを強く警戒しているのだ。
そのため、今年は動員作業を終えた人が農村を離れる際、農場の担当者が持ち物検査を実施している。少しでも荷物があれば、必ず検査を受けねばならず、動員者たちから抗議や不満の声が上がっているという。
「ジャガイモ1個であっても、持ち物検査で食糧が見つかれば10倍を動員者の所属組織に弁償させるという厳しいやり方だ。それだけではなく、持ち出そうとした者には6カ月以上の無報酬労働を科すと脅している」
と協力者は言う。(続く 2へ )
※アジアプレスでは中国携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。
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北朝鮮地図(製作アジアプレス)