キャッシュカードをだまし取るすり替え型の特殊詐欺 被害者が語る手口

詐欺というのも増えております」 【画像】宮城県の特殊詐欺被害

宮城県で急増している、特殊詐欺についてです。中でも、高齢者の自宅を訪れキャッシュカードをだまし取る、すり替え型の被害が増えています。被害者が当時の状況を語りました。

仙台市内で一人で暮らす80代の女性Aさん。特殊詐欺の被害に遭い、現金50万円をだまし取られました。
被害に遭ったAさん「自分は気を付けているから、そういうのには遭わないだろうと思ってたんですけど」

5月、Aさんの自宅にかかってきた電話。仙台市の青葉区役所の保険課の職員を名乗る男からでした。
男「5年間、保険料を過払いされています。皆さんの所へ通知を出しました」
被害に遭ったAさん「話し方がね、ものすごく何というか親しげというか、『青葉区役所です』とはっきり言うんですよ。区役所と言われるとやっぱり信じてしまうんですよね」

男の話を信じてしまったAさん。その後、金融機関の職員を名乗った男から電話が。
男「キャッシュカードが使えないので、手続きする必要あります」
こう言われ、キャッシュカードの暗証番号を伝えてしまいます。この電話の後、今度はAさんの自宅に金融機関の職員を装った男が訪れ、Aさんにキャッシュカードを封筒に入れて保管するよう伝えました。

そして、割り印が必要だと言いAさんが印鑑を取りに席を外した隙にキャッシュカードがすり替えられ、その日のうちに口座から現金50万円が引き出されました。
Aさんが被害に遭ったのは、キャッシュカードすり替え型詐欺と呼ばれる手口です。
宮城県警生活安全企画課千田丈晴課長補佐「キャッシュカードをすり替える手口の詐欺というのも増えております」

宮城県の特殊詐欺被害

宮城県の特殊詐欺の被害件数と被害額です。2022年は9月末時点で256件4億2000万円と、2021年の同じ時期と比べて91件1億8000万円増えています。被害者の8割は65歳以上の高齢者です。

特殊詐欺のうち、最も多いのが架空料金請求で96件、次いで、すり替え型が50件となっています。すり替え型は件数、被害額ともに前年の同じ時期を上回っています。
被害に遭ったAさん「あなたのためだということ得々と言います。それに引っかかった終わりですね。分からない電話には出ないということですよ。名前も知らないような人とは会話をしないことですね。そのままで良いからブツっと切って良いと思います。本当に必要な人はもう1度掛けてよこすわけだから」

Aさんをだました犯人は、まだ捕まっていません。犯行グループは組織化されているため、一部が逮捕されても全容を解明するのは難しいと言います。
宮城県警生活安全企画課千田丈晴課長補佐「残念ながら犯人から組織の別の者に渡ってしまっていて、そこまで捜査が及ばない限り、犯人からお金が返ってくるのは難しい状況になっています」

特殊詐欺の被害は、ある傾向が見られます。すり替え型は2019年までは手口自体が確認されていませんでしたが、2020年以降被害が急増しています。

すり替え型詐欺の件数

更に特殊詐欺の手口について、警察はある共通点に注目しています。
宮城県警本部生活安全企画課千田丈晴課長補佐「犯人のだましのスタートが、全て被害者方の固定電話に電話がかかってくるところから始まります。そこからそれぞれ息子であったり、金融機関職員であったり、警察官であったり、さまざまな手法、あの手この手で、だまし文句を言って結果的に最後はお金をだまし取るというのがここ数年続いてきております」

特殊詐欺被害の多くは、固定電話がきっかけとなっています。50万円をだまし取られたAさんも固定電話がきっかけで被害に遭っていました。
宮城県警本部生活安全企画課千田丈晴課長補佐「すり替え型の詐欺ですとか、オレオレ詐欺については固定電話に必ず電話がかかってきている現状ですので、固定電話の対策を強力に進めているところです」

特殊詐欺の撃退装置

宮城県警では、被害を防ぐために固定電話の対策を強化しています。その一つが、固定電話に取り付ける撃退装置です。撃退装置は、呼び出し音が鳴る前に警告して、犯行を諦めさせるのが狙いです。
宮城県警本部生活安全企画課千田丈晴課長補佐「警告を聞いた段階で、悪いことを考えている奴であれば電話を切るだろう、録音されるということを嫌うということでもありますので、この撃退装置というものが、有効であろうと設置を進めています」
県警では、数に限りはありますが、65歳以上の高齢者を対象に撃退装置の貸し出しを行っていて、活用を呼び掛けています。

© 株式会社東日本放送