失明犬の〝白杖〟好評 横須賀の夫妻、3Dプリンターで専用バンパー製作 「痛い思いの犬を減らしたい」

ダックスフントに装着したドッグバンパー(西澤さん提供)

 失明した犬の“白杖(はくじょう)”となる「ドッグバンパー」を開発して好評を得ている会社がある。ベンチャー企業・AtomicWorks合同会社(横須賀市、西澤洋代表)。電機メーカーでエンジニアとして働いてきたスキルを生かし、3Dプリンターを駆使して製造している。目が見えず物にぶつかっているうちに散歩を嫌がり閉じこもってしまう犬もいるという。大の犬好きの西澤代表(57)と妻千鶴さん(64)は「痛い思いをしている犬を一日も早く減らしたい」と第2の人生をこの事業に懸けている。

 湘南工科大機械工学科を卒業した洋さんは、充電器のケースなどを設計する技術者。その傍らでかわいがっていた3匹のパグ犬のうち1匹が失明するが、両親の介護もあって、何もしてあげられないまま死んでしまい後悔だけが残った。

 失明犬のためにできることを、と一念発起。6年前に起業した。知り合いの動物病院の獣医師からも何度も助言をもらい、試行錯誤の末にほぼ今の形が決まり、3年前に発売した。

 顔先の数センチを囲む輪っかと首にかけるホルダー、ホルダーと輪っかとの角度を決めるアームなどをつなぎ、ベルトで体に固定する構造。輪っかが先に当たって障害物を気付かせる仕組みだが、輪っかの強度が強いと犬の体に負担になり、弱ければ壊れやすくなる。適正な角度にして水を飲んだり、鼻を近づけられたりすることも必要で、一匹一匹に合わせた採寸が精度に関わるため、採寸用の治具(じぐ)も自ら開発した。

© 株式会社神奈川新聞社