元F1王者バトン、メルセデスのリザーブ就任が噂されるリカルドについて「何を得られるのか分からない」と反対

 元F1チャンピオンのジェンソン・バトンは、ダニエル・リカルド(マクラーレン)が2023年シーズンにメルセデスのリザーブドライバーを引き受けるのは間違っていると考えている。2009年の世界チャンピオンであるバトンによると、それによってF1でのリカルドのキャリアは終わりを迎えることになるという。

 今週初め、フランスの放送局『Canal +』は、リカルドが2023年にメルセデスのリザーブドライバーとなるべくチームと交渉中だと報じた。アルピーヌとアルファタウリのドライバーラインアップが確定したため、空きシートがあるのはハースとウイリアムズだけとなる。グリッドの3番目の階層にいるチームが、F1での運命を好転させるチャンスをリカルドに与えることはほとんどないだろう。

 33歳のリカルドは、2024年に2歩前進するために1歩下がることを歓迎するだろうと述べており、メルセデスは彼にリザーブドライバーのポジションをオファーするかもしれないが、バトンは反対だ。

「彼と同等の才能を持つ誰かのサードドライバーを務めることは、彼にとってとても奇妙な状況だ」とバトンは『Sky F1』に語った。

「サードドライバーになることで、彼が何を得られるのか分からない。彼は若手ではないから、来年レースウイーク(フリー走行)にマシンに乗ることはできない。それは若手ドライバーでなければならないからだ」

「だから彼は本当に何も得ることができないだろう」

2022年F1第18戦日本GP ダニエル・リカルド(マクラーレン)

 バトンは、2023年末にルイス・ハミルトンが引退することをリカルドが見込んでいる可能性があり、その場合ハミルトンのシートを引き継ぐことができるかもしれないと示唆した。

 しかしトト・ウォルフとハミルトン本人は最近のコメントのなかで、7度の世界チャンピオンが契約を更新し、F1にさらに5年もの間留まる可能性があることを指摘している。

「おそらく彼は『ルイスは引退するかもしれないし、そうしたら彼のシートが手に入るだろう』と考えるだろう。でもルイスは、あと5年続けると言っていた。だから彼は長いこと待つことになる」

「彼が2024年にシートを獲得できると考えられるチームであることが必要だ。そうでなければゲームオーバーだ。なぜなら1年たったらF1では忘れられてしまうからだ」

 バトンは、リカルドがグリッドを去る場合、マニュファクチャラーの強力な存在によって支えられている人気のカテゴリーのスポーツカーレースでスキルを活用できると考えている。

「ル・マン24時間は来年、あらゆるマニュファクチャラーがそろい、完全にエキサイティングだ。マニュファクチャラーと組むことにもなり、彼にとって素晴らしい未来になるかもしれない」

「でも彼はまだその段階にはいない。他のことをしたいとは思っていないと思う。ルイスのように、彼は他のことは決してしないかもしれない」

2022年F1第16戦イタリアGP木曜会見 ルイス・ハミルトン(メルセデス)&ダニエル・リカルド(マクラーレン)

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