生後3カ月の娘死亡…顔骨折でミルク飲める量減り、父は病院に連れて行かず 弁護側「泣かなかったので」

現場となったアパート=美里町関

 2020年8、9月、生後2~3カ月だった娘に医療処置などの生存に必要な保護を受けさせなかったなどとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた埼玉県美里町関、無職の父親(31)の裁判員裁判の初公判が11日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。父親は「間違いありません」と起訴内容を認めた。

 冒頭陳述で検察側は、同年8月ごろ、娘が下顎骨折に伴い下顎の歯茎にけがを負ったことで哺乳困難になり、体重が増加しなかったと指摘。同年9月ごろには、肋骨(ろっこつ)を骨折していたのにもかかわらず「虐待を恐れ、病院に連れて行くことを拒んだ」とした。

 一方弁護側は、同年8月上旬ごろ、娘がミルクの飲む量が減ったことから、父親がミルクの飲ませ方を工夫したと説明。哺乳瓶のふたを取り、「飲み口を娘の口に当て、直接流し込むようになった。8月中旬ごろ、下顎の歯茎から出血した」などと述べた。また、父親は娘の胸の動きがおかしいことなどについては、「泣いたりしていなかったことなどから、肺炎や骨折の疑いはないと思った」と主張した。

 起訴状などによると、父親は20年8月ごろ、娘が下顎骨折に伴う下顎歯槽挫裂創により哺乳困難になり、体重が増加せず、同年9月上旬ごろには肋骨骨折していたのにもかかわらず、医師への診断など生存に必要な保護を与えず放置し、同年9月11日ごろ、低栄養状態に伴う免疫力低下によって生じた菌血症による全身機能障害により死亡させたとされる。

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