3年ぶりに獅子舞奉納 串本で秋祭り

和深八幡神社で奉納された獅子舞(和歌山県串本町和深で)

 秋祭りのシーズンが始まり、和歌山県串本町和深の和深八幡神社(村上正人宮司)と同町串本の潮崎本之宮神社(山本貞夫宮司)で9日、獅子舞が奉納された。コロナ禍のため、両神社とも秋祭りでの獅子舞奉納は3年ぶり。見守った地域住民から大きな拍手が送られた。

■勇壮、時にしっとりと 和深八幡

 和深八幡神社では、和深青年会や青年会OBでつくる深和会など地域の各種団体でつくる和深祭礼実行委員会が獅子舞を奉納した。小雨の降る中、太鼓や笛の音に合わせて威勢良く、時にしっとりと舞った。

 今年、獅子頭などを新調したり修繕したりしたことから、その奉納も兼ねている。「幣の舞」「剣の舞」「神明讃(しんめいさん)」など5演目を奉納。男性が女性の着物を着て舞う「神明讃」では、たおやかでしっとりとした動きで見物人を魅了した。

 コロナ禍のため、総代や実行委の若者ら関係者に抗原検査と検温を徹底するなど、新型コロナの感染対策を行った上で祭りを営んだ。

 実行委の深海成郎委員長(50)は「3年ぶりに舞うことができて良かった。舞えなかった2年間があったからこそ、祭りの準備、練習から今日まで地域が一体となって取り組むことや伝統の大切さを、より実感することができた。来年こそはコロナ禍以前の祭りが営めるようになればうれしい」と話した。

■雨にも負けず奉納 潮崎本之宮

 潮崎本之宮神社の秋祭りでは宵宮や街中での獅子舞は見送ったが、当番会である南氏子会(松本誠会長)の協力で祭り当日に獅子舞が奉納された。

 南氏子会では新型コロナウイルスの感染予防に努めながら、9月下旬から毎晩稽古を重ねてきた。この日は小雨が降る中、祝詞の奏上に合わせて獅子舞の奉納が始まり、設営したタープテントの下で「幣の舞」「剣の舞」「花掛り」「天狗」など9演目を披露。途中で土砂降りになったが、多くの人たちが熱心に見守る中で無事に奉納を終え、見ていた同町串本の女性(67)は「しばらくなかったから、今日は最高」と笑顔を見せた。

 松本会長(39)は「皆で一丸となって奉納することができた。来年こそは通常通り盛大に秋祭りを営むことができたら」、吉村健三・氏子総代長(80)も「今年は何とか獅子舞を奉納してもらいたいという思いがあり、練習の時から皆が一生懸命に頑張ってくれて本当にありがたい」と話していた。

潮崎本之宮神社で奉納された獅子舞(和歌山県串本町串本で)

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