Disney+「スノードロップ」議論を政治家の前で謝罪 創作の自由はどこに?

2021年に韓国のテレビ局・JTBCで放送された、チョン・ヘインとBLACKPINK(ブラックピンク)ジスの主演ドラマ「スノードロップ」。

韓国での放送後、動画配信サービスのDisney+(ディズニープラス)を通じて世界配信され、海外のドラマファンから好評を得た作品だ。

しかし、韓国では再びネガティブな議論の渦中にある。

10月5日、Disney+KOREAのキム・ソヨン代表が「スノードロップ」にまつわる〝歴史歪曲〟議論に対して、消極的な対応を示したことを謝罪した。

キム・ソヨン代表が謝罪したのは、韓国の国会で行われている文化体育観光委員会国政監査でのこと。

ここで、民主党のキム・ユンドク議員から「『スノードロップ』に向けた視聴者の批判が起きた当時、Disney+の対応はどうでしたか」という質問が飛び出した。

キム・ソヨン代表は「誤解の余地があり、色々な意見があったことは十分に認知する」として「このドラマを通じて、Disney+がプラットフォームとして持つ影響力、視聴者に及ぼす影響について、改めて考えることができるようになった。細心かつ綿密に準備する努力を傾けるつもりです」と謝罪している。

ドラマ「スノードロップ」は1987年のソウルを舞台に、女子寮に血まみれで飛び込んできた名門大学生(チョン・ヘイン)と、彼を匿い治療する女子大生(ジス)の切ない恋物語を描いた作品。

放送前にあらすじが公開され、北朝鮮スパイのチョン・ヘインと女子大生のジスが恋に落ちる設定が明らかになると、大衆から「北朝鮮のスパイを美化している」という疑問が提起された。

さらに「民主化運動を軽視している」「安企部(韓国情報局)を美化するな」など、民主化運動の卑下を疑うといった問題提起と共に〝歴史歪曲〟議論が勃発。これに加えて、ヒロインを演じたジスの演技力議論までもが持ち上がってしまった。

今回キム・ソヨン代表が国会で謝罪したのを受け、韓国のインターネットでは「(謝罪が)遅すぎる」といった反応が見られる一方で、「創作の自由はどこにいったの?」という声も。

後者の意見を述べたネットユーザーは、フィクションであるはずのドラマに対して、歴史的事実と照らし合わせて異議を唱えるなど、まるで検閲するかのような行動に首をかしげている。

かつて、2021年に放送された時代劇「朝鮮駆魔師」も、描写された内容が歴史歪曲議論へと発展し、わずか第2話をもって放送が終了した。

フィクションとは創作されたストーリーのことで、つまりは作り話である。このフィクションに対する国民からの厳しい視線が規制レベルとなり、今後の創作へ悪影響を及ぼすのではという懸念の声も寄せられた。

創作する人々が、大衆検閲から自由ではない状況は、残念ながら現在も続いているようだ。(構成:星野沙)

(Danmee/よろず~ニュース)

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