グーグルの新作スマホ「ピクセル7」シリーズと「ピクセルウオッチ」を試してみた 東京での発表会にピチャイCEOが予告なしに登場!

グーグルの「ピクセル」の新作「7」シリーズとスマートウオッチ「ピクセルウオッチ」=10月7日、東京都渋谷区

 米グーグルが自社ブランドのスマートフォン「ピクセル」の新作「7」シリーズとスマートウオッチ「ピクセルウオッチ」を10月13日に発売した。スマホは自社開発の半導体を搭載し、カメラ機能を強化した。スマートウオッチはグーグルにとって初めて。実機をいち早く手に入れたので、新機能を試してみた。(共同通信=吉無田修)
 ▽スマホ、目玉はカメラのズーム
 「新製品を日本に紹介できてうれしい」。10月7日、東京都渋谷区にあるグーグル日本法人のオフィスで開かれた発表会。事前予告なく登場したグーグルのピチャイ最高経営責任者(CEO)は、スマホは人工知能(AI)による画像や言語の処理性能が高く、ウオッチは健康機能が充実していると訴えた。

発表会で登壇したグーグルのピチャイCEO=10月7日、東京都渋谷区

 スマホ「7」シリーズの目玉はカメラのズーム機能の改良だ。「7」は最大8倍、光学ズーム5倍の望遠カメラ搭載の「7プロ」は最大30倍まで撮影範囲を拡大できる。グーグルの画像処理技術で、デジタルズームでもきれいな画質になるという。
 東京都の井の頭公園を「7」シリーズを持参して散歩してみた。池の草むらで休む野鳥のカイツブリの親子は、通常のスマホカメラでは撮影が難しい距離だったが、「7プロ」のズーム機能を使うことで、親鳥の羽から顔を出すひなを捉えられた。

ズーム機能を使って撮影した野鳥の親子(上)と、通常の写真

 動画撮影は、背景をぼかせる「シネマティック」機能が加わった。被写体に焦点を合わせたまま、背景をぼかし、映画のような動画を撮影できる。焦点を合わせる被写体は画面をタップすることで変えられる。ただ、通常の動画撮影と違って撮影中のズームには対応していない。
 「7」シリーズに搭載されるグーグルフォトのボケ補正機能は、ピントがずれた写真を修正できる。10年前に映画館で撮影した子どものピンぼけ写真で試してみたところ、髪の毛はあまり変わらなかったが、顔や手の肌はうまく補正された。

写真のボケ補正機能を使う前(左)と後

 ▽ウオッチは健康機能が充実
 もう一つの新製品である「ウオッチ」は、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載のスマートフォンと連携して使う。米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」には対応していない。
 「ウオッチ」を着けて思ったのは、着け心地の良さと時計盤の見やすさだ。付属のゴムバンドは腕にぴったり合った。丸みを帯びた円形の時計盤は、常時点灯せずに自分の方に向ければ一定時間、点灯して画面を表示する。ただ、腕の細い人には時計盤は大きく感じられるかもしれない。

グーグルのピクセルウオッチ

 操作は、端末側面にある竜頭のようなダイヤルを回したり、押したりするほか、画面をタップする。最近使ったアプリを表示するボタンもある。2015年に初代端末が発売されたアップルの「アップルウオッチ」と似た操作方法だ。
 最大の特長は、グーグルが昨年買収したウエアラブル端末メーカー、米フィットビットのアプリとの連携だ。フィットビットも運動量や心拍数などを記録する多様な製品を展開しており、ピクセルウオッチはこうした健康機能を使える。
 バッテリー駆動時間は最大24時間。30分で約50%充電できる。就寝中も心拍数などで睡眠の質を分析するアプリを使い、朝、充電してから出勤するといった使い方が可能だ。私の場合、自分で思っていたより深い睡眠時間が短く、眠りが浅かったことが分かった。
 グーグルの地図アプリ「グーグルマップ」も便利だった。私にとって不慣れな池袋周辺で使ってみたところ、ウオッチだけの案内で、池袋駅から立教大のキャンパスに行けた。画面表示に加え、曲がり角を端末が震えて教えてくれた。

グーグルマップの経路案内画面を表示したピクセルウオッチ

 ▽価格、アップルに対抗
 端末の販売価格は、最近の外国為替相場の円安水準に比べて安く設定している。日本ではグーグルでの「ピクセル7」の価格は8万2500円から、「7プロ」は12万4300円から、「ウオッチ」は3万9800円から。米国での最低価格を1ドル=145円で換算すると「7」は約8万6千円、「7プロ」は約13万円、ウオッチは約5万円となる。しかも日本と違って税抜き価格だ。
 こうした価格戦略について、グーグル幹部は7日の発表会で「競争環境などを考慮している」と説明した。日本市場で占有率が大きな米アップルへの対抗策との考えをにじませた。

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