高梁川流域マルシェ and F フェス 〜 岡山のアクティビストたちに直接会えるイベント

地域の文化に関わる活動がしたい」、「地域の問題について学びたい」という想いを抱きつつ、何から始めればよいかわからないという人がいるかもしれません。

2022年9月4日に倉敷市芸文館広場で開催された高梁川流域マルシェ and F フェスは、岡山で地域振興や社会問題の解決に取り組む団体が集まるイベントです。

会場には地域団体のブースが立ち並び、それぞれの団体が活動を紹介するためのワークショップパフォーマンスを行ないました。

岡山を豊かにするために、熱い想いを持って活動する団体たちに直接会うことのできるイベント 高梁川流域マルシェ and F フェスについて紹介します。

高梁川流域マルシェ and F フェスの紹介

写真提供 : @86ikachan

地域団体が集まる屋外イベントとは、どのようなものなのでしょうか?

高梁川流域マルシェ and F フェスの概要

高梁川流域マルシェ and F フェス(以下、and F フェス)は、地域振興や社会課題に取り組む団体が集まり、それぞれの団体の活動をワークショップやパフォーマンスを通じて紹介するイベントです。

2022年9月4日、倉敷市芸文館広場とイベントホールのアイシアターで開催されました。

主催は、岡山県内で地域振興や社会課題に取り組む団体への助成事業を行なっている福武教育文化振興財団(以下、財団)。

また、高梁川流域の文化や歴史についての振興活動を行なう一般社団法人 高梁川流域学校(以下、高梁川流域学校)の協力のもと、備中エリアで活躍する地域団体も参加しています。

さらに、岡山県内で移動販売を行なう飲食店が出店するマルシェイベントも同時に開催。

飲食を楽しみながら、岡山県内の地域活動や社会問題に取り組む団体の活動について学べるというイベントが、高梁川流域マルシェ and F フェスです。

写真提供 : @86ikachan

高梁川流域マルシェ and F フェスの参加団体

and F フェスには、岡山で活躍する15の地域活動団体が参加しています。

普段はそれぞれの場所で活動している団体が、顔の見える距離で集まることはほとんどありません。

地域のアクティビストが一同に集まっているのがand F フェスの特徴です。

▼and F フェスに参加した団体は、以下のとおり。

マルシェイベントの参加店舗

マルシェイベントも、and F フェスの注目すべきポイントです。

岡山県内のマルシェイベントを賑わせている7つの飲食店が出店しました。

▼and F フェスに出店した飲食店は、以下のとおりです。

地域活動団体のブース

地域振興や社会課題に取り組む団体は、どのようなワークショップパフォーマンスを行なったのでしょうか?

筆者が体験してきたワークショップを紹介します。

一般社団法人 やかげ小中高こども連合の「やかっぴーかき氷」

一般社団法人やかげ小中高こども連合、通称YKG60のブースでは、井原市矢掛町のマスコットキャラクター「やかっぴー」をモチーフにしたかき氷を販売していました。

やかっぴーの特徴である緑をマスカット味のシロップもしくは抹茶で、クチバシをポテトチップスで再現したかき氷です。

YKG60は、矢掛町の学校に通う小中高校生が一体となって地域活動を行なう団体

and F フェスにも、学生たちがかき氷を販売するために、井原市矢掛町から駆けつけてくれました。

汗が噴き出る気温のなか、やかっぴーのかき氷は大人気。

かき氷の完売とともに販売担当の学生たちからは歓喜の声が上がりました。

MSB30の段ボールスツール作り

楽しみながら実践で役立つ防災知識を身に付けられるイベントを企画しているMSB30では、段ボールスツールを製作するワークショップを行なっていました。

MSB30は、平成30年7月豪雨で被災した真備町の復興支援を目的に、現地の中学生たちが立ち上げた団体

防災について学ぶイベントまびっこカエルキャラバンを運営しています。

ブースで段ボールスツール製作を指導してくれた高校生は、平成30年7月豪雨で被災し、避難所の体育館で長時間床に座ることの過酷さを実感したそうです。

支援物資とともに運ばれてくる段ボールを活用して、即席で製作できる段ボールスツールの有用性を、実体験とともに教えてくれました。

NATURE TALKの自然・野生動物の保護についての新聞

NATURE TALK(ネイチャートーク)では、気候変動や密猟などが野生動物に与える影響についての新聞を、中学生が一人で製作しています。

ブースには、自作の新聞が並べられており、絶滅の危機に瀕しているトラやゾウ、サイなどの野生動物の実態について聞くことができました。

また、トラの模様を描くワークショップも実施。

台紙には、トラの頭数の推移が記載されており、絶滅に瀕しているトラの実情を学ぶことのできるワークショップになっていました。

高梁川流域マルシェ and F フェスの担当者 和田広子さんへインタビュー

高梁川流域マルシェ and F フェスを取り仕切る福武教育文化振興財団の和田広子(わだ ひろこ)さんに、イベントについて話を聞いてきました。

高梁川流域マルシェ and F フェスに込められた想いを紹介します。

──今日のイベントで、印象に残ったことは何でしょうか?

和田(敬称略)──

私たちの財団と高梁川流域学校の関連団体、岡山県内で活躍する飲食店が一同に集まっている光景が印象に残っています。

これまで、財団の成果報告会などを通じて助成団体同士の交流の場はありましたが、その他の団体との交流の機会はありませんでした。

and F フェスでは、高梁川流域学校の協力を得て、備中エリアの地域活動団体や飲食店も参加するイベントが実現。

お互いの活動を知りながらも機会がなかったために、and F フェスで初めて話すことができたという団体も多くいたようです。

エリア、関連団体の枠を越えて、アクティビストたちの交流の場を作れたことは大きな成果だと感じています。

──交流の成果はありましたか?

和田──

and F フェスには、親和性の高い活動を行なっている団体が集まっていました。

たとえば、アフリカ布ブランドjam tun(ジャムタン)と野生動物の保護新聞の自主製作を行なっているNATURE TALKは、親和性が高い印象があります。

NATURE TALKの代表の中学生は途上国などの海外に興味を持っており、アフリカでの活動経験のあるjam tunの代表から学べることは多くあるでしょう。

これまでに顔を合わせることのなかった人たちが、お互いのブースを訪ねて楽しんでいる光景から、新しい価値が生まれる予感がしました。

写真提供 : @86ikachan

──and F フェスを今後も続けていきたいですか?

和田──

多くのアクティビストたちが集まり、交流の場を実現できていたことから、and F フェスは成功だったと感じます。

エリアや関連団体を超えた交流は、新しい事業や価値を生み出すかもしれません。

備中エリアのみならず、他のエリアでもアクティビストたちが顔を合わせられるイベントを開催して、岡山に新しい文化や価値を提供していきたいと思います。

高梁川流域マルシェ and Fフェスを訪れて

地域活動に参加したいと思っても、何から始めていいかわからない人は多くいるでしょう。

and F フェスに足を運べば、岡山をもっと楽しく、もっと豊かにしようと活動している人たちと直接会うことができます

アクティビストたちがどんな想いを持って活動しているかを聞けば、きっとやりたいことも見つかるはずです。

地域活動の入り口として、and F フェスを訪ねてみてはいかがでしょうか?

取材協力

写真提供 : @86ikachan

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