水路から男性の顔と手... 命守ったサッカー部員の連携プレー 宇都宮清陵高

伊東毅署長(左)から感謝状を受け取った(右から)菊地さん、秋吉さん、永野さん

 【宇都宮】用水路に誤って転落し動けなくなっていた男性を救助したとして、宇都宮中央署は11日、宇都宮清陵高サッカー部員の2年男子生徒3人に感謝状を贈った。発見、対応が遅れれば命に危険が及ぶ可能性もあった男性。日頃ゴールを守る3人は、フィールド外でも“チームプレー”で高齢男性の命を守った。

 3人は永野晴(ながのはる)さん(17)と秋吉一途(あきよしいっと)さん(17)、菊地翔(きくちしょう)さん(16)。学校のサッカー部で守備陣を担っている。

 休日だった9月19日午後3時半ごろ、3人は自転車で上戸祭3丁目のカラオケ店に出かけた。すると、永野さんが店に隣接する用水路から男性が顔と手を出しているのに気付き、「助けて」というか細い声が耳に入った。

 永野さんは「普通じゃない」と感じ「一瞬焦った」。それでも過去に見知らぬ大人同士のけんかを仲裁したこともあるという永野さんは「すぐ冷静になれた」。3人は救助に向かった。

 最初は地上と深さ80センチほどの用水路内に分かれて救出を試みた。「男性は全身に力がなく、重かった」(秋吉さん)。思うように持ち上がらない。上半身を抱えるなどしてようやく救助した。約10分にわたる救出劇の後は店員を通じて110番。男性の命に別条はなかった。

 伊東毅(いとうたけし)署長は「発見が遅れ、命が危なくなる可能性もあった。若い人が思いやりを持って助けてくれたことはありがたい」とたたえた。菊地さんは「助かって安心した」とはにかみ、秋吉さんは「最初は動揺したが2人がいて落ち着けた」と絆を強調した。

伊東毅署長から感謝状を受け取る(左から)菊地さん、永野さん、秋吉さん

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