静岡県牧之原市のこども園で通園バスに置き去りにされた園児が死亡した事件で、静岡県が園を運営する学校法人に改善勧告を出す方針を固めたことが分かりました。政府は10月12日、緊急対策を発表しましたが、専門家は継続的な監視が重要だと指摘します。
静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」に通っていた女の子(当時3)は9月5日、通園バスの中に約5時間取り残され、熱中症で死亡しました。
静岡県と牧之原市は、事件後から特別監査を続けていて、監査の結果、早ければ10月14日にも川崎幼稚園を運営する学校法人「榛原学園」に改善勧告を出す方針を固めたことが分かりました。
県はバスを運転した前理事長らが降車確認を怠ったことや担任らが女の子を欠席だと思い込む事態などを招いた園の体制に法令違反があったと判断。川崎幼稚園は10月3日から再開しているため、勧告では再発防止のため早期の改善を求めるということです。
<小倉将信 こども政策担当大臣>
「今回しっかり対策を講じてもらうことによって二度と同種の事故が起きないような体制ができるのではないかと思っております」
一方、政府は10月12日、関係府省会議を開き、緊急対策を取りまとめました。緊急対策では、2023年4月から全国の通園バスに安全装置の設置を義務付け、設置義務に違反した場合、業務停止命令の対象とします。さらに業務停止命令に従わない場合、罰則の対象となり得るとしています。
政府の緊急対策について専門家は…。
<東京学芸大学教職大学院 渡邉正樹教授>
「安全装置の義務化はもちろんだが、同時にチェックリストなどを発表したことはとても速かったと思うし、意義のあることだと思う。ただし、安全装置だけに頼るのは不十分だと思う。安全装置は使う人が正しく適切に使わなければ効果がないので、それだけに頼ってしまうと、油断を生んでしまって、人の目で見なくても大丈夫ということが起きると、また事故につながる」
渡邉教授は、園や国、自治体は、2021年に福岡で起きた事故を一つの事例としか捉えず、おそらく他人事になっていたのではないかと話します。
<東京学芸大学 教職大学院 渡邉正樹教授>
「(国、政府は)装置を取り付けたことやチェックリストを作ったということで留まらないで、継続されているかどうか、訓練などが行われているかなどもチェックしていかなければならない」
渡邉教授は、政府には継続的な監視の働きかけが求められると指摘しました。