2023年4月、亜細亜大学経営学部に新たなデータサイエンス学科が誕生! 文系や理系という枠を超えてビジネス志向のDX人材を育成

近年、多くの大学でデータサイエンス学部や学科の設置が相次いでいる。AIやデジタル化が加速するにつれ、データサイエンスの人材不足という社会からの要請が大きくなっているからだ。ただ、一口にデータサイエンスといっても、求められている知識やスキル、その範囲は幅広い。理工系に類する情報処理的な技術やデータ分析から新たなモノやサービスを生み出していくクリエイティブな分野まで多種多様だ。それぞれの大学が、学生や社会のニーズに応えるべく独自性を打ち出しながらさまざまな教育プログラムを提供している。

亜細亜大学では、これまでも副専攻としてデータサイエンスを学ぶ機会をつくってきた。しかし、データサイエンス人材のニーズがさらに増していく中で、「どのようなデータサイエンスが今、企業では求められているのか?」「現実的な使い方とは?」という問いに向き合い、メーカー、金融、サービスといった企業をはじめ、行政などにもヒアリング、意見交換を行い、データサイエンス学科設置に向け新しいカリキュラムを作り上げた。学びをリードする教授陣も、人工知能や数理工学などのプロフェッショナルが顔を揃え、これまで亜細亜大学経営学部が長年培ってきた教育・研究とも融合し、次世代のデータサイエンスを担う人材を育成する新学科が誕生する。

データサイエンス学科では、1・2年次に経営学とデータサイエンス全体の基礎を体系的に学ぶとともに、データサイエンスの中でも自分が志向する分野や目標にあわせて履修する科目を選び組み立てていく。さらに3年次からは、自らテーマを設定し研究も進める。文系の経営学部に属しながらも、理系レベルでのプログラミング、さらには機械学習、ディープラーニングなども学べるのが特徴だ。

亜細亜大学のデータサイエンスにおけるカリキュラムは、数理・データサイエンス・AIを活⽤して課題を解決するための実践的な能⼒を育成する教育プログラムとして、すでに文部科学省の数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度、MDASH (Approved for Mathematics, Data science and AI Smart Higher Educationの略)のリテラシーレベルと応用基礎レベルの認定を受けている。

多くの大学が情報システム系や理工系学部として学部・学科を設置する中、応用基礎レベルのカリキュラム構成で文系の経営学部の学科として新設される例は少ない。文系学部の中でも数学的素地のある経営学部において理系要素を取り入れた亜細亜大学経営学部のデータサイエンス学科は、折しも文部科学省がSTEM教育を推進する社会ニーズにもマッチしたかたちだ。理系科目についていえば、入学段階でのレベルよりも本人の学習意欲を重視し、文系科目での受験、また入学後もそれぞれのレベル、ニーズにあわせてサポートが受けられる体制も整えている。

学ぶ内容も興味深い。学生は、幼い頃からゲームをはじめ、デジタルデバイスに慣れ親しんできた世代。身近にあるゲームや映像など、ひいては社会の裏で動いているさまざまなシステムや仕組みに興味を持つ学生も多い。これまでもデータサイエンス副専攻で、マルチプラットフォームのゲーム開発エンジン「Unity」を使って、アプリ開発や亜細亜大学のホームページにもあるメタバーシティの制作などにも取り組んできた。今後は、データサイエンス学科として開発元であるユニティ・テクノロジーズ・ジャパンと共同で学生の興味・関心を軸にさまざまな開発や研究などへのチャレンジも予定している。

また2年次には、企業トップによるデータサイエンスについての特別講義を全員が必修で受ける。「データを制する者は、ビジネスを制す」とした、同学科のキャッチフレーズにもあるように、今は、どの企業においてもデータサイエンスをどう経営に活かしていくかが喫緊の課題であり、まさに経営者にとっては悩みでもあり、希望でもあるといえる。実際に企業を動かし、社会経済に影響を与える経営層が、データサイエンスの現実と未来について、どのように考え、どのようなビジョンをもっているのかを知ることは、学生にとって得難い経験となるにちがいない。さらに言えば、これらの講義で講師を引き受ける経営者の学生に対する期待の高さも伺われる。

その他にも、日本を代表する大手電機メーカーとともに取り組む開発プロジェクト、留学生とともに事前に現地の言語で旅行をシミュレーションできるゲームの開発など、教材となる題材には事欠かないようだ。学生は4年間を通して、データサイエンスの川上から川下まで、実際に体験しながら自分自身の志向、進んでいきたい分野を見極めていくことができる。

現状、データサイエンスを扱う企業というとIT系と一般的には捉えられがちだが、世の中の動きは速い。競争力を高め、チャンスを逃すことなく、よりスピーディーに社会ニーズに応えていくために、自社やグループ企業にデータサイエンスを扱う部門を置く企業も増えている。これからは、メーカー、金融、サービス、また非営利団体や行政など、企業、業種を問わず、データサイエンスの知識や技術を活かせる場が広がっていくことは間違いない。経営的視点を養いながら、データサイエンスの知識や技術を修得することは、未来への選択肢を確実に増やしていくことになる。

「オープンキャンパスに来る高校生の中には、自分がつくるアプリケーションを、ビジネスで応用したい、社会の中で役立てたい、そんなことを話してくれる高校生もいます。文系や理系であることを問わず、学生が同じ教室で意見交換をしたり、一緒に作業をすることで新たなひらめきを得たり、また大学間の垣根も越えて研究が盛んになったりと、さまざまな人間との交流を通して、データサイエンスがより普及していったらいいなと考えています」と、経営学部長である鈴木信幸教授は、新学科への期待を語った。

© 大学ジャーナルオンライン