この地に生きる5(2)岡田章裕さん(42)=津山市 〝楽〟大切に行動や決断

砂場清掃専用の機械を手にする岡田さん

 自分はとても人生を楽しんでいると思う。豊かな歴史文化がある地元でずっと生きてきて、友達や仲間に恵まれた。板金の仕事も大好きだが、砂場清掃という「やりたいこと」を見つけられたことでさらに充実した。

 子どもと市内の公園に遊びに行った時の出来事がきっかけになっている。公園の砂場は汚くて遊べず、仕方なく自宅に作った。調べたら専門の清掃業者は県内にはなく、だったら「自分でやろう」と。安全で安心して遊べるように再生された砂場を楽しむ親子を見ると本当にうれしい。

 地域の発展には若者が活躍できる場を増やさないといけない。砂場のような子育て世帯に寄り添う環境整備に、行政も地域ももっと本気になれば雰囲気が変わると思う。

 高校時代を振り返ると、将来をきちんと考えることもなく過ごしていた。進学しても働いても同じと思い、やりたいこともなかったので家業を手伝った。

 18歳と言っても判断材料となる知識や実体験は少ないから、何が自分に合っているか分からないのは当たり前。いろんな人に出会い、さまざまな体験や挑戦をしてやりたいことを見つけたらいい。

 自分が動きさえすれば、地元でも地元外に出てもチャンスはある。どこでも何でもできると思っているから、地元を出たいと考えたことはない。

 人生の大きな決断を控えた皆さんには「楽」という字を贈りたい。楽しい、楽、楽しくない…。この字で多くの状況が表せる。自分や周囲を楽しくするには楽でないことを頑張らないといけない。自分の楽を優先して誰かが楽しくないなら辛抱も必要だ。「自分が楽しいか、誰かが楽しめるか、それがうれしいか」を大切にして行動してほしい。

 おかだ・あきひろ 津山市出身。西小、津山西中、作陽高に進み1999年に家業の岡田板金(小田中)に就職。2019年に砂場清掃業「SAND LABO」(同)を立ち上げた。社業の傍ら地域で公園や施設の砂場の再生に取り組む。津山青年会議所では「2020年の森」森林整備事業キャプテンを務めた。会議所卒業後の現在は日本青年会議所教育部会常任理事。地域では市スポーツ少年団本部役員、徳守神社(宮脇町)みこし巡行世話人、作陽高同窓会役員、城西保育園父母の会会長。中高生と大人が語り合うイベントにも参加している。

岡田さんのメッセージ

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