「被爆十字架」の複製を寄贈 長崎大司教区が帰国会見「平和考える一助に」

被爆十字架の複製贈呈を記念し贈られたガラスプレートを紹介する信徒(左から2人目)と髙見名誉大司教(右から2人目)ら=長崎市本尾町、浦上教会

 原爆で破壊された旧浦上天主堂(長崎市本尾町)の「被爆十字架」を長年保管していた米オハイオ州のウィルミントン大平和資料センターに、カトリック長崎大司教区が十字架の複製を贈呈した。現地に持参した髙見三明名誉大司教(76)らが13日、長崎市で帰国会見し報告した。
 大司教区によると、被爆十字架は米進駐軍の海兵隊員ウォルター・フック氏(故人)ががれきの中から発見。交流があった司教(当時)から譲り受け、同センターに寄贈した。長年保管・展示されていたが、2019年、浦上教会に返還された。
 同センターへの謝意を示すため、大司教区は信徒で木工職人の被爆者、西村勇夫さん(今年7月に88歳で死去)に複製の製作を依頼。長男勇二さんも協力し、2年前に完成した。
 髙見名誉大司教と信徒ら6人は9月26日~10月4日の日程で渡米。フック氏の長男ら遺族と面会した他、米国各地で学生や教会関係者らと交流した。複製の贈呈式では、同センターから記念のガラスプレートが贈られた。同行した勇二さんは「複製が今後たくさんの人に原爆の悲惨さや平和の尊さを訴え、世界平和について考える一助となれば」とコメントを寄せた。

© 株式会社長崎新聞社