秋の味覚を思いっきり堪能!迫力のサンマ丸ごとパスタ 低温の油でじっくり調理、頭もバリバリと【にっぽん食べ歩き】

 秋の味覚サンマがドーンと丸ごと一匹、パスタの上に―。そんな豪快な料理「北海道産さんまを丸ごと一本使った贅沢(ぜいたく)スパゲティ タプナードソース」が人気を集めている。(共同通信=中村彰)

 このパスタを提供しているのは北海道と首都圏に展開するレストランチェーン「北海道イタリアン ミアボッカ」と系列の計22店。東京の新宿タカシマヤタイムズスクエア店で味わうことができた。

「北海道産さんまを丸ごと一本使った贅沢スパゲティ タプナードソース」

 まずサンマの存在感、圧倒的な迫力に驚かされる。硬い背骨や小骨の多さが気がかりだったが、心配は無用だった。「ほぐしてパスタに絡めてお召し上がりください」との畑中祥太店長のアドバイスに従いフォークを身に当てるとほろほろと崩れていく。

 低温の油でじっくりと煮るように揚げるコンフィという調理法で料理しているので骨まで軟らか。1・7ミリの細めの麺がサンマとよく絡む。頭は少し歯応えがあるものの、さほど気にならずにバリバリと食べられる。

 オリーブ、ケッパー、アンチョビー、ニンニクをふんだんに使ったソースとシソが魚特有のにおいを打ち消している。キノコとの相性もいい。サンマのはらわたは苦手なのだが、ソースとシソに加えて、レモンを搾り味変させることで苦みが変化し、抵抗なく食べることができた。

「北海道イタリアン ミアボッカ」新宿タカシマヤタイムズスクエア店の外観=東京都渋谷区

 運営会社「イーストン」(本社・札幌市)によると、仙台市のグループ店で提供していたサンマのコンフィの小皿料理がメニュー開発の原点。サンマ丸ごとのパスタは2018年に提供を始めた。

 サンマの漁獲量は19年から3年連続で過去最低を更新。今年も不漁が続き、7月にあった釧路市の市場の初競りでは1キロ当たり約6万7千円の高値が付き、小売店では1匹1万円で販売されるほどだった。

 イーストンは今年の提供継続に向けて昨年から準備を開始。魚市場で働いた経験があるバイヤーが何度も道東の水揚げ港を訪れ、仲買人らと交渉を重ね必要量を確保したという。

「北海道イタリアン ミアボッカ」新宿タカシマヤタイムズスクエア店の店内=東京都渋谷区

 ボリュームから若い層に人気がありそうだが、30~40代の女性の評価も高い。家族連れなどグループでシェアするケースも多いという。

 価格は1780円(新宿タカシマヤタイムズスクエア店は1980円、札幌地区は1580円)。11月中旬まで提供する予定だが、材料がなくなれば終了する。

© 一般社団法人共同通信社