首も羽根もないエサのいらないブロイラーを開発 養鶏場を舞台としたサスペンス 「殺しを呼ぶ卵」公開決定

1968年に公開された、資本主義の非情な面と人生の虚無に切り込んだ、養鶏場を舞台としたサスペンス映画「殺しを呼ぶ卵」の「最長版」が、12月2日より劇場公開されることが決まった。

ローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナに対するいら立ちは日々強くなる一方だった。同居するアンナの十代の姪、ガブリと愛人関係にあるマルコは、妻への憎しみを女性へのサディズムで発散していた。そして、3人それぞれの隠された欲望が暴かれる時、事態は予想もできない展開と想像を絶する畸形ニワトリを産むのだった。

欲望の渦巻く犯罪ドラマを残酷趣味で毒々しく描いただけではなく、養鶏場のオートメーション化に伴う労働者解雇という資本主義社会の非情な側面、エサをやらなくても成長を続ける首も羽根もない畸形ブロイラーの研究開発という、利潤追求のためには生命倫理をも蹂躙する企業の非人間性を描いた社会派的メッセージも打ち出した作品となっている。初公開時に世界配給された90分前後の「国際版」にはない残酷場面などを含む、105分の「最長版」としてが公開される。

主人公のマルコ役を演じるのは、2022年6月に死去した、「男と女」「暗殺の森」などのジャン=ルイ・トランティニャン。妻アンナ役をイタリア美人の代名詞として一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ、ガブリ役をスウェーデン出身で当時18才だったエヴァ・オーリンが務めている。監督・脚本は、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で知られる「情無用のジャンゴ」のジュリオ・クエスティ。

【作品情報】
殺しを呼ぶ卵 【最長版】
2022年12月2日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開
配給:アンプラグド
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