立候補するために必要な情報を全て詰め込んだ『「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版』 選挙プランナー松田馨氏が語る必勝法とは【PR】

「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版を出版した選挙プランナーの松田馨氏

4年に1度の「統一地方選挙」が2023年4月に迫っています。地方自治体の選挙が全国的に行われるもので、前回の2019年は全国の市区町村議選の立候補者数は約1万5000人に上っており、「自分もいつかは選挙に立候補したい!」と考えている人は多いはずです。一方で、「何から始めればいい?」「お金はどのくらい必要?」といった不安のためになかなか動き出せない人も少なくないでしょう。

今回、選挙プランナーとして数多の選挙を勝利に導き、2023年の統一地方選挙に対応した『「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版』を出版した松田馨氏に選挙ドットコムがインタビュー。初めての立候補を考えている新人だけでなく、再選を目指す現職にも役立つ「決定版」の一冊の魅力を交え、選挙に立候補するために必要なことや勝つための戦い方を聞きました。

半年前に選挙の準備を始めても間に合う?

選挙ドットコム編集部(以下、編集部):

来春の統一地方選挙までおよそ半年となりました。今から立候補の準備を始めても間に合うのでしょうか?

松田馨氏(以下、松田氏):

半年前ということであれば、間に合います。これまで統一地方選挙は2007年から4回関わってきましたが、選挙プランナーへの依頼が最も多いのが半年前です。中には1カ月前に立候補を決めて当選した人もいましたね。

ただ、立候補者が少なく1人しか落選しない選挙など、選挙区の事情次第では準備期間が短くても当選しやすいかもしれませんが、中核市で10人以上落選するような激しい選挙戦になるところでは、半年やそれ以前から準備する人が多いです。いずれにしても、半年前というのは十分間に合うタイミングです。

スケジュールの立て方は期間を分けて解説しており、それぞれの期間にやるべきことが書かれている(「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版より)

政治活動や選挙運動の資金はどのくらい準備すればいい?

編集部:

選挙に立候補するうえで費用面を不安視する人は多いと思います。準備資金や使い方についてアドバイスはありますか?

松田氏:

何にいくら使うかは候補者の戦い方にもよりますが、絶対に必要なのはまず供託金30万円(指定都市以外の市議会議員選挙の場合)です。それが用意できたら、次は知名度を上げるための印刷物ですね。まずは名刺は絶対に必要といえます。そして、訪問活動をしていくうえで後援会入会をお願いするリーフレットがあるとよいでしょう。この2つだけつくって、あとはひたすら辻立ちを行ったり、訪問して後援会の入会をお願いしていくやり方であれば、他に印刷物をつくらず選挙カーも使わず、一番お金がかかる選挙事務所を借りずに戦うということも可能ではあります。

選挙カー、ホームページ、印刷物…用意する規模で選挙の費用は変わる

額が大きいものをいくつか見ていきますと、供託金の他に、選挙カー関係で50万円くらいかかるので、選挙カーを使うかどうかで必要な予算が変わります。さらに、いまの時代に最低限ホームページは必要だと思います。これをお金をかけて用意するか自分でつくるかといった選択肢はあるでしょうが、スマホに対応させるなどしっかり作成するのであれば30万円くらい必要だと考えた方がよいと思います。

印刷物をどのくらい用意するのかも重要です。名刺やリーフレットだけにするのか、ポスティングや新聞折り込みもやるのか、たくさん印刷物を配ればそれだけお金がかかります。一番大きいのは選挙事務所ですが、費用を抑えるためきちんとした事務所を構えずに、自宅兼事務所として活動している人もいます。選挙カーを使わない、印刷物を多くつくらない、事務所を構えない……そうすれば費用を大幅に削ることは可能といえます。

「選挙にかかる費用」のページでは、何にいくらかかるのかという目安が詳しく書かれている(「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版より)

編集部:

選挙カーや印刷物などは、知名度を上げるために使ったほうがよいとも聞きます。ほかの部分で費用を抑えられるポイントはありますか?

松田氏:

ボランティアで手伝っていただける人を増やすことですね。例えば選挙カーに乗ってマイクを握る車上運動員をプロに頼むとしたら、日当1万5000円くらいの人を1日3~4人乗せることになるので、3人であれば1日4万5000円、それを7日間続けたら車上運動員だけで20万円くらい必要ということになります。そこをボランティアに頼むことができれば、プロではないとしても一生懸命やってくれる人であれば大きな戦力になりますし、費用を抑えることもできます。

費用を抑えるコツや、素人の方に選挙運動に加わってもらう場合のポイントは本書に記載していますので、ぜひ読んでいただきたいです。

法律違反をしないために、お金の使い方で心がけることは?

編集部:

選挙に関しては、お金の使い方のルールが複雑で難しいという意見もあると思います。選挙違反にならないために、お金の使い方で心がけておくべき点を教えてください。

松田氏:

選挙運動や政治活動に関するルールである公職選挙法や政治資金規正法は、一般常識からかけ離れた「非常識」ともいえます。つまり、通常の社会通念とは大きくかけ離れているということを前提に動かなくてはなりません。

例えば、お世話になった人に何かお礼を渡すことができません。ボランティアで手伝ってもらったらお礼をしたくなりますが、少しでも選挙運動に関わったらお礼を渡してはいけないと肝に銘じてください。また、「寄附の禁止」が定められています。政治活動期間であっても、政治家や政治家になろうとしている人は、選挙区内の人にお歳暮を贈るといった行為はできません。

選挙違反について解説されたページには、違反となる具体例も列挙されている(「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版より)

要は、政治家ではないときにできたことが、できなくなるということです。仕事を休んで一日中ボランティアでお手伝いいただいた人にお礼として食事などを出したいという気持ちもあるかと思いますが、絶対にいけません。一般常識から大きくかけ離れた厳しいルールがあるということを認識し、選挙だから仕方ないと自覚することが一番大切ですね。

「選挙運動」ができるのは告示日以降

あとは、選挙運動ができるのは告示日からということです。立候補するという意志を内心に秘めて活動するのはよいけれども、訪問先で「立候補するから1票お願いします」と告示日前に言ってはいけません。あくまで政治活動の範囲で活動をしなければいけません。

競争率はどのくらい?新人や若手にはどれくらいチャンスがある?

編集部:

前回(2019年)の統一地方選挙では、全国の市区町村で約1万5000人が立候補し、競争率は平均1.2倍でした。また、立候補者は減少傾向です。この状況を見て、当選のハードルは低くなっているといえるのでしょうか?

松田氏:

当選できるかどうかという視点で言いますと、当選する可能性は十分にあると思います。新人の方、若い方が立候補すれば、とてもチャンスが大きいです。特に前回の選挙が無投票で選挙をしていない地域では、現職が選挙に強くなりにくいです。というのは、政治家の後援会は選挙を経験することで強化されていく一面があり、現職でも無投票で選挙を経験していない後援会は強くならないからです。

また、選挙プランナーの業界では「新人票」という言葉があります。(明確な証拠があるわけではないですが)新人に投票する層が一定数いるのではないかと言われるくらい、新人や若い候補は票を集めやすいという話があります。

さらに、そもそも議員のなり手が不足しているのが町村議会です。一部で緩和の動きがあるとはいえ兼業の禁止が存在しますし、議員報酬が低いことから、若い人が専業で議員を務めづらいという課題が存在するからです。ただ、選挙に勝てるかどうかの視点で言えば、勝ちやすいことは確かです。

「新人や若手にも当選のチャンスは十分ある」と話す松田氏

「選ばれる政治家」になるには?

編集部:

「選ばれる政治家」になるためには、どんなことが必要でしょうか?例えば、松田さんはよく地盤(組織力)、看板(知名度)、鞄(資金力)の三バンのほかに、基盤(候補者力)が必要だとおっしゃっています。

松田氏:

基盤」、すなわち候補者力が必要だと言っているのは、候補者を応援したくなる魅力がとても重要だからです。それがどこから来るのかというと、その人がなぜ政治家になりたいのかという動機や、政治家になって何を実現したいというビジョンや政策、課題を解決したいという思いなど、どれだけ人の共感を得られるかということです。

さらに、熱意や本気度で人の心を動かしたり、謙虚で人当たりがよいということなどを含め、候補者として魅力的であればあるほど、それだけ周囲の人が応援したくなるということです。

今回の『「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版』どこが新しくなった?

編集部:

書籍のお話をうかがいます。前回(2018年10月出版)と比較し、増補改訂版ではどの部分がアップデートされたのでしょうか?

松田氏:

一つは、この4年間で公職選挙法が一部改正され、町村議会議員の選挙でも選挙期間中のビラの頒布が可能になったという点に対応しました。

また、コロナ禍を経てネット選挙の重要性が高まりましたので、コロナ禍における戦い方や、SNSの運用などの最近のネット選挙のトレンドなどを加筆しています。

コロナ禍によって重要度が高まったネット選挙について加筆された(「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版より)

「地方選挙 必勝の手引」増補改訂版』が役立つのはどんな人?

編集部:

最後に、本書から得られるノウハウや役立つことなど、アピールポイントを教えてください。

松田氏:

選挙に出るとなると、何から始めればよいかわからないとか、費用がどのくらいかかるかわからないとか、何ができて何ができないのかなど、いろいろ不安があると思います。この本では、私が選挙プランナーを16年やってきて、実際に多くの新人の方をサポートしてきた中で、新人の方が特に不安に思うこと、わからないと思われる部分をできるだけわかりやすく、必要なポイントを絞って体系的にお伝えしています。

選挙に立候補する上で、公職選挙法や政治資金規正法は避けて通れません、それぞれ「これは知ってほしい」という重要なポイントを書いています。車を運転するうえで道路交通法を勉強するように、選挙に出るうえでは公職選挙法や政治資金規正法をある程度学んでおかなければ、選挙違反をしてしまい最悪の場合当選取り消しになるということもあり得るので、そういうことがないようルールを理解して選挙に臨めるようにしました。

さらに、当選に向けて何をしなければいけないのか、作成したスケジュールの中で何をしていくべきかということも、詳細に記載しています。

編集部:

この一冊にはすべてが詰まっているということですね。

松田氏:

選挙のルールから、選挙でやるべきこと、実際の選挙のやり方、さらには選挙が終わってからの収支報告などの後片付けまで、一冊で全部カバーしていますここまで載せている本は他にはないと自負しています。ボリュームが非常に大きくなっており、図表やイラストを豊富に取り入れていたり、フルカラーでポスターやビラのデザインのサンプルもいろいろ載せています。載っているデザインを使って実際にビラをつくることもできますよ。

また、選挙事務所などでいろいろな人に使ってもらいやすいよう、見開きでわかりやすくつくりました。新人の方はもちろん、これまで任せきりだったけれども改めて選挙について学び直したいという現職の方にもおすすめできる一冊になったと思います。

松田 馨(まつだ かおる)
選挙プランナー
株式会社ダイアログ 代表取締役社長

1980年生まれ。2006年7月の滋賀県知事選挙以降、選挙プランナーとして地方選挙から国政選挙まで300を超える選挙に携わってきた。現職に挑戦する無所属・新人の依頼を数多く引き受け、勝率は七割を超える。首長選挙においては、2021年の石川県知事選挙をはじめ、 新人の当選や現職の再選に多数の実績を持つ。新聞や週刊誌上における国政選挙(衆議院・参議院)の全議席当落予想を担当するなど、過去の選挙データと最新の情勢調査を組み合わせた当落予想に定評がある。
政党の政治スクールや選挙管理委員会主催の勉強会、投票啓発イベントへの出演など、講演実績も多数。TVドラマや映画の選挙監修等も担当。YouTube番組「選挙ドットコムちゃんねる」ではレギュラーコメンテーターを務める。
著書『残念な政治家を選ばない技術 「選挙リテラシー」入門』(光文社新書)はAmazon「選挙」カテゴリー1位獲得。『フルカラー図解 地方選挙必勝の手引』は「咢堂ブックオブザイヤー2018」の選挙部門にて大賞を受賞。日本選挙学会会員。日本世論調査協会会員。

[増補改訂版]フルカラー図解 地方選挙 必勝の手引
松田馨 著 / B5判 / 292ページ / ソフトカバー
ISBN:978-4-909687-01-2 C3031
本体価格:書籍版 税込9,900円 / kindle版 税込9,900円
https://www.senkyonotomo.com
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