【静岡豪雨】「処分費で10万円…厳しい」豪雨から3週間も行き届かぬ支援 事業所の災害ごみ受け付けてもらえず 膨らむ自己負担

SBSなどJNN系列28局のニュースサイト「TBS NEWS DIG Powered by JNN」内の「SBS NEWS DIG」の10月10日週のアクセスランキングをみると、台風15号による記録的豪雨の余波が伝えるリポートがよく読まれていることがわかります。

豪雨災害から10月14日で3週間。被害が深刻だった静岡市清水区の鳥坂地区では、復旧作業が進み、営業を再開した店もありますが、ここにきて、新たな問題が浮び上がっています。

清水区鳥坂のスーパー「田子重鳥坂店」は、ようやく10月15日から営業を再開します。

<田子重 鳥坂店 小林司店長>

Q.営業再開に向けて大変だったことは?

「一番は、こちらの精肉のコーナー。ケースのメンテナンス、復旧が大事で、このケースがしっかり稼働しているかどうか十分な確認が必要」

店内では、久しぶりの営業に向けて従業員が作業に追われていました。9月24日に撮影した店内の様子をみると、店全体が浸水し、棚にあったはずの品物は通路に散乱。冷蔵庫や冷凍庫も水に浸かり、生鮮食品をはじめ、およそ7000点もの商品が被害に遭いました。

<田子重 鳥坂店 小林司店長>

「売場の商品だけではなくて、バックヤードにある商品、在庫もダメになった」

あれから3週間、地域住民の助けになりたいと従業員全員で営業再開に向けて取り組んできました。

<田子重 鳥坂店 小林司店長>

「スーパーマーケットとして、普段の食を支えることが社会的な使命、役割だと思っているので、非常にうれしくもあり、ドキドキするような期待と不安が入り混じっている気持ちが大きい」

一方、同じ鳥坂にある塩ラーメンが自慢のラーメン専門店「麺屋ARIGA」はいまだ、再開できていません。

<麺屋ARIGA 有賀一登代表>

「仕込みしている最中に、どんどん水が入ってきて、結構な勢いで水位が上がってきて、裏の勝手口から逃げようとした。ノブを開けようとしたけど水圧で開かなった。すぐ2階に逃げた」

オープン4周年を祝うイベントに向けた準備をしているさなかの出来事でした。

<麺屋ARIGA 有賀一登代表>

「こちらに跡があるがここの高さまで。自分の身長くらい」

Q.命の危険を感じた?

「そうですね。命が危ないと思って、必死で逃げた」

カウンターの高さまで水に浸かった店内。冷蔵庫も食洗器も、そして、食材もすべてダメになりました。店を再開するには、機材の買い替えや店の修繕費などで約700万円かかるといいます。問題はこれだけではありません。

<麺屋ARIGA 有賀一登代表>

「厨房屋さんの引き取ってもらったこともあり、処分費で10万円近く掛かったこともあって、そこも厳しいなと思っている」

静岡市では、災害ごみの仮置き場を設けましたが、有賀さんの店など、事業所から出たごみは受け入れてもらえず、処理費用も自己負担です。有賀さんは行政の支援を求めていますが、先行きは不透明です。

<麺屋ARIGA 有賀一登代表>

「(補助がない状態で)現状このままの営業するのは大変だが頑張っていきたい」

水害から3週間経ちますが、あらためてさまざまな場所に支援が行き届いていないことを痛感させられます。有賀さんは10月末の営業再開を目指して、頑張ると話してくれましたが、いまこそ、きめ細かな救いの手が必要だと思います。

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