目のような不思議な形状の銀河「Caldwell 67」 ハッブル宇宙望遠鏡の画像を振り返る

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した棒渦巻銀河「Caldwell 67(NGC 1097)」の中心付近(Credit: ESA/Hubble & NASA; Acknowledgment: E. Sturdivant)】

こちらは「ろ座」(炉座)の方向約4800万光年先にある棒渦巻銀河「NGC 1097」、別名「Caldwell 67」です。1790年に、天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見されました。この画像は、Caldwell 67の特徴的な中心部分をクローズアップしたものです。中央の明るいリング構造から左右に伸びる2本の渦巻腕(渦状腕)が、鮮明に捉えられています。

Caldwell 67の特徴的なリング構造は、短期間に数多くの大質量星が形成される「スターバースト(爆発的星形成)」が起きていることを示しています。リングの内側には、太陽の約1億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールが存在していると考えられています。中心部分の明るさの正体は、周囲のガスや塵がブラックホールに引き込まれることで発生するエネルギーによるものなのです。

【▲ ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)が撮影した棒渦巻銀河「Caldwell 67(NGC 1097)」の全体像(Credit: ESO)】

また、Caldwell 67の渦巻腕は、まるで星々を広範囲に振りまくかのように長く長く伸びているため、銀河全体の幅は10万光年を超えているとみられています。一般的な渦巻銀河は左右対称の渦巻腕をもっていますが、Caldwell 67の渦巻腕は近くにある伴銀河(衛星銀河)による重力の影響を受けて、歪んだ形をしています。

冒頭の画像は、「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」を使って取得された画像(可視光線と赤外線のフィルター合計2種類を使用)をもとに作成され、欧州宇宙機関(ESA)から2012年12月24日に公開されていたもので、アメリカ航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡Twitter公式アカウントが2022年10月11日付で改めて紹介しています。

関連:宇宙天体ギャラリー

Source

  • Image Credit: ESA/Hubble & NASA; Acknowledgment: E. Sturdivant
  • NASA \- Caldwell 67
  • ESO \- Spiral galaxy NGC 1097

文/sorae編集部

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