「早く復旧してほしい」那覇市の図書館、貸し出し停止続く 「何の目的で攻撃しているのか」市民ら憤りの声も ランサム被害

 サイバー攻撃でシステム障害が発生している沖縄県那覇市立図書館・図書室では、15日も貸し出しや検索ができない状態が続いた。混乱などはなかったものの、市民からは攻撃への憤りや、早期復旧を望む声などが聞かれた。

 那覇市立図書館では、利用者情報や蔵書などのデータを管理するサーバーがコンピューターウイルス「ランサムウエア」に感染し、貸し出しや返却、予約などのシステムが使えなくなった。この影響で、14日から市内の全8施設で本の貸し出しを停止している。

 15日の市立中央図書館は、貸し出しや蔵書検索ができない以外は普段と変わらない、静かな時間が流れていた。島袋元治館長によると、同館は約10万冊の開架図書があり、1日約150~200人が利用するという。「市民に大変ご迷惑をかける形になっている。原因を究明し、早く復旧させたい」と話した。

 4歳の双子の男の子を連れて読み聞かせに訪れた、父親の那覇市の40代男性は司書の説明に驚いた様子。「主に絵本をよく借りに来る。早く復旧してほしい」と話した。

 次々に新聞をめくっていた那覇市の50代女性は「本を借りられないから、新聞で気持ちを満たしている」と話す。週末は本を借りに来ることが多いといい、「攻撃をした人は何の目的で何が楽しくてやっているのか」と憤ると同時に「職員は問い合わせが多くて大変だろう」とおもんぱかった。

 牧志駅前ほしぞら図書館は蔵書点検中で休館していたものの、システム障害の影響で点検を中止し、17日から開館する。貸し出しはできず、閲覧のみとなる予定。

 那覇市は、市電子図書館の利用も呼び掛けている。約5千冊を無料で読める。市民や市に在勤・在学している人はオンラインで登録申請できる。

(中村万里子)
▼沖縄で起きた事件・事故
 

© 株式会社琉球新報社