インフルエンザ、希望者の対面受診体制維持 コロナ同時流行時も可能な限り、福井県が国と調整へ

 冬場に新型コロナウイルスとインフルエンザの大規模な同時流行が起きた場合の対策について、福井県は10月14日、県内の発熱外来に混乱が生じない限り、希望する患者は対面で医師の診断を受けられる体制を維持する方向で国と調整を進める考えを示した。新型コロナの重症化リスクに応じて外来受診の流れが変わる国の仕組みは複雑と不安視した。

 厚生労働省が13日に示した対策は、重症化リスクが高い高齢者、基礎疾患がある人、妊婦、小学生以下に発熱外来の受診を推奨。リスクが低い人は検査キットで自己検査を行い、陰性だった場合はオンライン診療やかかりつけ医でインフルエンザの診断を行う。

 杉本達治知事は14日の定例会見で「非常にオペレーションが難しく、若干の不安がある。国には現実的で混乱のないような方法を選んでもらいたい」と指摘。県健康福祉部の宮下裕文副部長は、国が示した対策は発熱外来が逼迫(ひっぱく)した際に優先順位を判定するトリアージの一つとの認識を示した。

 宮下副部長は、今夏の新型コロナ流行で県内の発熱外来では患者を受け入れられないほどの混乱はなかったとして、同時流行が起きても「対応できる限りは、発熱した患者が普通に診断を受けられる体制に持っていきたい」と述べた。オンライン診療には「インフルエンザをどう診断するのか不明。インフルエンザ以外にも発熱する疾患は多い」と懸念した。

 県内で新型コロナ感染者の全数把握簡略化開始から1カ月経過したことについては、杉本知事は新設した県総合相談センターで受診などにつなげる体制は整ったとして「今後、インフルエンザと同様の定点観測にすべき」とした。

© 株式会社福井新聞社