実家の父が働けなくなり貯金で仕送りする36歳会社員「あと数年で貯金がなくなる」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、36歳、会社員の男性。実家の自営業の父が働けなくなってしまったため、貯金を切り崩して生活費を支援している相談者。このままだと貯金が底をついてしまうため将来が心配だといいます。対策はあるのでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。


36歳、会社員、独身です。

今年、実家の父(自営業66歳、貯蓄なし、年金70万円)が寝たきりで働けなくなってしまったため、毎月の投資分と貯金を切り崩して両親の生活費として支援しています。今後も、支援する必要が出てくると思われます。仕事の都合上、同居することは考えていません。

このままでは数年で貯蓄もなくなり、自分の将来が心配です。40歳までにマンションを購入したかったのですが、あきらめるしかないでしょうか。

【相談者プロフィール】

・男性、36歳、会社員、独身

・子どもの年齢:なし

・住居の形態:賃貸(関東地方)

・毎月の世帯の手取り金額:24万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:70万円

・毎月の世帯の支出の目安:18万1,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:6万8,500円

・食費:4万円

・水道光熱費:1万円

・教育費:5,000円

・保険料:1万2,500円

・通信費:5,000円

・お小遣い:2万円

・その他:2万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:-円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):450万円

・現在の投資総額:755万円

・現在の負債総額:-円

・ボーナスからの年間貯蓄額:50万円

飯田:今回は、実家のお父様が寝たきりで働けなくなってしまったため、ご自身の投資資金や貯蓄を切り崩して、両親の支援をしている36歳の相談者様です。不安に感じていることは、このままでは数年で、今まで貯めた貯蓄がなくなってしまうため、自分の将来が心配とのことです。また、当初は40歳までにマンションを購入したいと考えていたようですが、あきらめるしかないのかというものです。親の介護は、ある意味、避けては通れないもの。どのように向き合っていくべきなのか考えてみましょう。

ご両親に支援しているお金がいくらなのかを明確にする

しっかり者の相談者様ですので、すでに行っているかもしれませんが、毎月、どれくらいのお金を支援しているのか、金額を明確にしてください。その時は、お父様の介護に関する費用と通常の生活費を分けて算出してみてください。そして、それぞれの費用を予算立てして、その範囲内で収めるよう、計画しましょう。

お父様は寝たきりとのことですが、要介護度はどの程度になっていますか? ご存知のように、要介護度によって介護保険の給付金・給付内容は変わってきます。自宅で介護をしているのなら、施設での介護も検討しても良いでしょう。

今はある意味、非常事態です。もし、お母様がお父様の介護をしている場合は、その分、時間を確保することができますので、お母様にも働き手になってもらえないか、話し合ってほしいと思います。

入所する施設によって金額は変わってきますが、お父様が施設で生活する場合では、介護費用とお母様の生活費でいくらかかるのかも算出し、できるだけ金銭的負担が少ない方法を見つけましょう。

また、相談者様に兄弟姉妹がいる場合は、その方たちにも同等に金銭的な負担をしてもらうようにしてください。

相談者様のマンションはあきらめるべきなのか?

もともと40歳までにマンションを購入することを考えて、貯蓄や投資を行っていらっしゃったようですね。支出の内訳を見ても、無駄遣いもせず、しっかりと計画して貯めてきた様子が伺えます。

相談者様がおっしゃる通り、このまま資金援助を続けている場合は、マンションの購入をあきらめる、もしくはグレードを落として選ぶ方法しかないのかもしれません。

とはいえ、あきらめるのは早いと思います。

お父様は自営業だったため、現在の収入は公的年金の70万円のみのようですが、お母様はこれから年金を受給されるのですよね? そうすると、今よりも生活費として支援しているお金は少なくなりますよね?

先ほども説明させて頂きましたが、お母様にも働いて頂いて収入を得てもらうことができれば、その分、支援する金額を減らすこともできます。

もし、在宅介護をしている場合であっても、在宅で働いてもらう方法もありますので、お母様と一度、話し合ってみてはいかがでしょうか。

私自身、親の介護で仕事を辞めた経験があり、親や周囲の人々と介護について話しました。ご両親としては、息子さんの気持は嬉しいと思っていると思いますが、邪魔はしたくないと考えているのではないでしょうか。

自分がどのような生活をしたいのか、また、ご両親にどのようにしてあげたいのか、考えていることを正直に話してみてください。

不安ごとはケアマネージャーと密に相談を

お父様の介護に関しては、基本的にお母様がケアマネージャーと連絡を取っているかと思います。ただし、ご両親の生活を支えているのは相談者様なのですから、お母様と一緒にお父様の担当のケアマネージャーと会い、今抱えている不安をシェアすることも必要です。

ケアマネージャーは、介護に関するプロであり、情報は常にアップデートしています。施設の入所に関してアドバイスをしてくれますし、どのようにしたらご家族に負担をかけずにすむのかも考えてくれますよ。

また、ケアマネージャーが優秀であっても、所属している事業所によって、利用できる施設などに違いが出てきます。ケアマネージャーは変わってしまいますが、利用する事業所を変える方法もあります。

介護は先が見えないため、不安になってしまうと思います。でも、あきらめてしまったらそれで終わってしまいます。

お父様が働けなくなったのは、今年からとのこと。働くまでは無理だとしても、体調が回復することもあるかもしれません。それにより、相談者様の負担が軽くなることもあるのではないでしょうか。

マンションの購入に関しては、先送りになってしまうかもしれませんが、決して購入できないわけではないと思います。まだ、ご家族の生活は定まってはいないのですから、あきらめないでください。

まじめな相談者様のことですので、責任感から頑張ってしまうかもしれませんが、自分の幸せは手放さないでほしいと思います。

介護は、金銭的にも精神的にも家族の負担になり、つらくなることも少なくありません。ひとりで抱え込まずに、取り組んでくださいね。陰ながら応援しています。

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