一般利用可能な1/1スケールの風洞試験センター誕生へ。「誰でも気軽に風洞実験ができる世の中」目指す

 10月17日、コンパクト風洞試験システム『Aero Optim(エアロオプティム)』を手掛ける株式会社日本風洞製作所は、株式会社ニシヤマと協同で静岡県沼津市に『風洞試験センター』を設立することに合意したと発表した。これにより、日本で初めて、一般ユーザーも利用可能な風洞試験施設が設立されることとなった。

 モータースポーツ分野のみならず、自動車、自転車(ロードバイク)の試験・開発に欠かせない設備となる風洞装置は、大型・高価・高維持費かつ高い稼働率により、一部の大手メーカーや研究機関等しか使えない高嶺の花の存在と言えた。

 そんななか、2016年10月に創業した九州大学発のベンチャー企業の日本風洞製作所は、風洞装置をできるだけ小型・低価格化させ、できるだけ多くの人が気軽に風洞実験できることを目指し、小型ながらある程度整った直進性の高い気流を生み出せることができ、従来型風洞とも相関のある実験結果を得ることができる『Aero Optim』を開発、本年度より販売を開始した。

 そんな『Aero Optim』を用いて2023年初頭に設立を予定している『風洞試験センター』には、日本風洞製作所、株式会社ニシヤマ、大和製衡株式会社が共同開発した自動車用測定システム、そして日本風洞製作所開発の自転車用測定システムなどが配備される。これらの製品の購入検討中のユーザーに向けて製品のトライアルを実施するほか、有償で風洞施設利用枠が開放され、一般ユーザーも試験機会を得ることとなる。

 日本風洞製作所は「弊社では本施設を通じて、Aero Optimを通じた『風洞の民主化』、『誰でも気軽に風洞実験ができる世の中』を実現し、世界の技術革新に貢献してまいりますので、引き続きご支援の程何卒よろしくお願いいたします」としている。

 自動車業界にとっては、試験機会拡大によって製品開発スピードの加速が期待され、また、スポーツカーオーナーにとっては、愛車のエアロパフォーマンスを客観的に評価する絶好の機会を得ることになりそうだ。

■風洞試験センターの概要

設立地:静岡県沼津市
設立時期:2023年初頭を予定
試験設備:
自動車用コンパクト風洞試験システムAero Optim×SLIM BALANCE
自転車用コンパクト風洞試験システム
他、従来型の小型風洞試験装置(校正用風洞、極低騒音風洞等)を随時配備予定
※公式ホームページは開設準備中

施設内の様子(イメージ) 右側区画に自動車用システム、中央区画に自転車用システムを配置
Aero Optimの自転車用風洞システム

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