2023年ル・マン24時間へ招待される6台が決定。木村武史が参加のケッセル・レーシングも

 10月15~16日に最終戦ポルティマオが開催されたELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのシーズン終了後、来季2023年のル・マン24時間レースに自動的に招待される6つのチームが確定した。

 ELMS LMP2選手権でランキング1位、2位となったプレマ・レーシングとパニス・レーシングは、それぞれLMP2カテゴリーでのル・マン出場が保証されることになった。

 プレマは、シーズン最終戦のポルティマオ4時間レースで今季4勝目を挙げELMSタイトルを獲得。パニスは同レースでの逆転タイトルを狙ったが、その夢は叶わず。それでも選手権2位となりル・マンへの自動招待枠を獲得した。

 シリーズデビューイヤーに初タイトルを獲得したイタリアのレーシングチームは、WEC世界耐久選手権でもプレマ・オーレンチームとしてオレカ07・ギブソンを走らせている。プレマが2度目のル・マン挑戦で「LMP2マシンを2台投入するか」という質問に対し、チーム代表のルネ・ロージンは「いずれ分かることだ。今夜はこのチャンピオンシップを祝って、明日から2023年に向けて動き始めるとしよう」とSportscar365に答えた。

 LMP3クラスでチャンピオンを獲得したクール・レーシング(リジェJS P320・ニッサン)は、プレマとパニスとともにLMP2クラスへの挑戦権を手にした。

 また、ELMSのGTEクラスでは、フルシーズンエントリーが4台増えるごとに招待枠がひとつずつ開放されるというルールのもと、ランキング上位3台がLMGTEクラスへの招待状を獲得した。

 これに該当するのはGTEクラスタイトルを獲得したプロトン・コンペティション(ポルシェ911 RSR-19)と、木村武史もメンバーに加わったケッセル・レーシング(フェラーリ488 GTEエボ/選手権2位)、アイアン・リンクス(フェラーリ488 GTEエボ/選手権3位)の3台だ。

 なお、アイアン・リンクスは来年どのマシンを走らせるか、まだ確定していない。イタリアのチームは17日、ポルティマオでプロトン・コンペティションのポルシェ911 RSR-19をテストする予定となっている。

 Sportscar365は、ポルティマオで女性トリオによるシリーズ初優勝を達成した“アイアン・デイムス”のクルーを含む同チームのELMSドライバーと、チームプリンシパルであるアンドレア・ピッチーニがポルシェをドライブすると理解している。

プレマ・レーシングに次ぐシリーズランキング2位となったパニス・レーシングの65号車オレカ07・ギブソン 2022年ELMS第6戦ポルティマオ

■残りの自動招待枠は来年2月開催のアジアン・ル・マンで決定

 ELMSで自動招待枠を獲得した6つのチームは、すでに明らかになっている他の3つの自動招待エントリーとともに100周年を迎える2023年のル・マン24時間に参加する予定だ。

 デンマークのGMBモータースポーツは、ELMS第5戦スパのサポートレースとして行われたミシュラン・ル・マン・カップでGT3のタイトルを獲得。これによりエントリー権を得たチームは、LMGTEアマクラスにアストンマーティン・バンテージAMRを投入するとみられている。

 ジョン・ファラーノは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権LMP2クラスでベスト・ブロンズドライバーに贈られるジム・トゥルーマン賞を受賞し、ル・マンへの招待を受ける予定となっている。同じくIMSAのGT部門ではライアン・ハードウィックがボブ・エイキン賞を受賞。GTEアマクラスへの招待を受ける。

 2023年の残りの自動招待枠は、今年度も2月中にコンパクトな4戦制で開催されるAsLMSアジアン・ル・マン・シリーズで確定する予定だ。中東のドバイとアブダビで開催される同シリーズでは、LMP2とLMP3のチャンピオンにそれぞれ24時間レースのLMP2出場権が与えられ、GT3のチャンピオンはGTEアマクラスでのレースが可能となる。

 なお、自動招待枠について例年と異なる事項としては、今年のル・マンにおけるLMP2クラスとGTE-Amクラスの優勝者は、ル・マン補足規定により自動エントリーを保持していることが示されていない。

 また、チームは招待枠を獲得できるシリーズで上位を占めた場合でも、2つ以上の自動エントリー権を獲得することはできないことになっている。さらに、この権利は他チームへ譲渡することができず、当該チームがエントリーできない場合、またはエントリーしないことを決定した場合はキャンセルされる。

ル・マン24時間レースは2023年に100周年を迎える

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