滞納だけじゃない。クレジットカードで信用力を下げる7つのNG行為をお金のプロが解説

この数年、キャッシュレス決済が一気に広まりましたが、キャッシュレス決済といえばやはりクレジットカード。JCB「クレジットカードに関する総合調査(2021年度版)」によると、クレジットカードの保有率は85.9%と、他のキャッシュレス決済手段を上回っています。でも、果たして自分に合ったクレジットカードを正しくお得に使えているでしょうか。

今回は、クレジットカード選びのポイントと、クレジットカードを利用するうえでやってはいけないNG行為を解説します。


自分に合ったクレジットカード、選んでいますか?

今やクレジットカードは、店舗での買い物はもちろん、ネットショッピングや公共料金の支払いなどにも幅広く用いられています。端末にかざすだけで決済できる非接触のクレジットカードも増えています。クレジットカードを使うと、わざわざ財布からお金を取り出す手間がなくせて便利です。新型コロナの感染拡大防止の観点でも優れています。

また、クレジットカードで買い物をすると、買い物のたびにポイントが貯まります。貯まったポイントは、次の支払い時にお金と同じように使えます。ポイントをもらえる分だけ、現金では受けられない割引を受けているのと同じです。ときには、条件を満たすことでポイントの還元率がアップすることもあります。

クレジットカードでの買い物は、家計管理にも役立ちます。利用明細や利用履歴を見れば、いくら使っているかがすぐわかるので、使いすぎの防止にも役立ちます。

近ごろは券面にカード番号や有効期限、セキュリティコードなどの記載のない「ナンバーレスカード」も登場。ナンバーレスカードでは、スマホのアプリで番号などの情報を確認するシステムになっているので、カードから番号を盗まれる心配が減らせます。

と、こうしたことはクレジットカードをお持ちの方ならばご存じでしょう。しかし、それを踏まえて自分に合ったクレジットカードを選んで使っている人は、意外と少ないようです。はじめて作ったクレジットカードを使い続けている方、クレジットカードをたくさん持っていてどれも少しずつ使っている方、不利と知りつつも変更が面倒でそのまま惰性で使っている方など、理由はさまざまあるようです。

でも、日増しに物価が上昇しながらも、給料はなかなか増えない時代です。クレジットカードを見直すことで、これまでよりも得をしたり、損をしなくなったりします。ですから、すでにお持ちのクレジットカードを見直してみましょう。

自分に合ったクレジットカードを選ぶ3つのポイント

自分に合ったクレジットカードを選ぶポイントは、次の3つです。

クレカ選びのポイント1: 生活圏で使いやすいクレジットカードを選ぶ

自分がよく利用するサービスや店舗でお得に貯まったり、ポイントアップなどの特典があったりするクレジットカードを選びましょう。

クレジットカードには、発行するカード会社によって、交通系、流通系、通信系、銀行系、石油系など、さまざまなジャンルがあります。自分がクレジットカードをよく使うシーンを思い浮かべてみてください。たとえばデパートやスーパーでの買い物が多いなら、よく行く店舗で割引やポイント還元が受けられる流通系カード、ネットショッピングが多いなら通信系カードという具合に絞っていきます。

クレジットカードは2枚に絞るのが理想です。その2枚は国際ブランドを別のものにしましょう。国際ブランドとは、世界中でいつでも決済ができるサービスを提供する会社のことです。おすすめは、1枚はシェアの多いVISA、もう1枚は同じくシェアの多いMasterCardか、国内で利用可能店舗の多いJCBにすることです。どちらか片方が使えなくても、もう片方が使える…となれば、クレジットカード利用の幅はぐっと広がります。

クレカ選びのポイント2: ポイントの還元率が高いクレジットカードを選ぶ

クレジットカードを利用すると、利用金額に応じてポイントが貯まります。クレジットカードの利用金額に占める、貯まるポイントの割合を「還元率」といいます。

クレジットカードの還元率は、カードによって異なります。高ければ高いほどいいことは、いうまでもありません。クレジットカードで年間50万円を利用する場合、還元率が0.5%のカードだと2,500ポイントしか貯まりませんが、1.0%のカードだと5,000ポイント貯まります。

クレジットカードのポイントの還元率は、利用する店舗やサービスによって異なる場合もあります。たとえば「イオンカードセレクト」の場合、通常は0.5%還元(200円ごとに1ポイント)ですが、イオン系列の店舗で買い物する際に利用すると1%還元(200円ごとに2ポイント)となります。「三井住友カード(NL)」もセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのコンビニ3社とマクドナルドでの買い物の還元率を最大5%還元にできます(通常0.5%+加算ポイント2%+Visaタッチ決済・Mastercardコンタクトレス決済2.5%)。

還元率の高いクレジットカードは、年会費がかかることが多くあります。年会費がかかる場合は、元を取るにはどれだけ使う必要があるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
年会費の元が取れるかどうかは「年会費÷還元率」で計算します。

たとえば、年会費2,000円、還元率1.5%のクレジットカードであれば、2,000円÷1.5%=およそ13.3万円。年13.3万円、月1.1万円以上使うようであれば、年会費を支払ってもクレジットカードを利用する価値があるというわけです。

クレジットカードを選ぶ際には、還元率と年会費をチェックしましょう。

クレカ選びのポイント3:付帯サービスの充実したクレジットカードを選ぶ

付帯サービスとは、クレジットカードの所有者が受けられるサービスのこと。主に、海外旅行・国内旅行のときの保険、ショッピング保険、空港のラウンジサービス、家族カードやETCカードなどがありますが、クレジットカードによって用意されている付帯サービスは異なります。

たとえば、前述のイオンカードセレクトの場合、イオン系列の店舗でポイントが2倍になることに加えて、
・WAONへのオートチャージ200円ごとに1ポイント
(WAON使用時にも税込200円ごとに1ポイント貯まるので、二重取りができる)
・毎月20日と30日の「お客さま感謝デー」は5%オフ
・イオンシネマの映画料金300円引き
・ETCカード・家族カードを無料で作成可
・ショッピングセーフティ保険(購入日から180日・年間50万円まで商品を補償)
といった特典が用意されています。

また、三井住友カード(NL)も、コンビニ3社・マクドナルドでの還元率アップに加え、
・海外旅行傷害保険最高2,000万円(カードで支払いを行うことが条件(利用付帯))
・家族ポイント(家族を登録するとコンビニ3社・マクドナルドでの還元率が最大10%)
・学生ポイント(対象のサブスク・携帯料金・QRコード決済の還元率がアップ)
などの特典があります。

還元率アップや割引はもちろんのこと、保険やETCカード・家族カードなど、自分のライフスタイルに合ったサービスが用意されている1枚を選ぶと、クレジットカードもより便利に使いこなせるでしょう。

クレカで信用力を下げる「NG行為」

一方、クレジットカードを使う上で、やってはいけないNG行為があります。クレジットカードのクレジットは「信用」という意味ですから、カード会社に信用されなくなるような使い方をすると良くない、というわけです。もしも次のNG行為をしていたら要注意。使い方を改めていきましょう。

クレジットカードの支払いを滞納する

クレジットカードのNG行為のなかでもっともやってはいけないのは、支払いを滞納することです。貸したお金が返ってこないとなればカード会社も困りますし、文書や電話などで催促するにしても、余計な手間とコストがかかって面倒です。カード会社の信用も一気に失うことになります。

クレジットカードの支払いを滞納すると、クレジットカードは利用停止になります。また、支払いが遅れるほど遅延損害金が加算されるため、支払額が増えてしまいます。

つい1度2度、少しだけクレジットカードの支払いが遅れたという分にはまだ問題ありませんが、滞納が続くと、滞納履歴が信用情報機関に保存されます。支払い遅延の情報は5年、強制解約や破産の情報は5年または10年保存されるため、その間のクレジットカードの審査はもちろん、住宅ローンや車のローン、スマホの買い替えにも影響が出ることも考えられます。

滞納がわかった段階ですぐにカード会社に連絡して必要な手続きをする、あるいは督促状に沿って速やかに支払うようにしましょう。

カードの申込書に嘘を書く

クレジットカードの申込書には、年収を記載する欄があります。記載する金額はおおよそのものでいいのですが、見栄を張るなどして本来の年収より大幅アップした金額を書くと、カード会社の信用力が下がる可能性があります。カード会社は、勤務先や勤続年数、年齢から年収を予測しています。その予測と実際に大きな差があれば、カード会社からの信用力が下がってしまうでしょう。クレジットカードの申込書には、正しい情報を記載しましょう。

作ったクレジットカードをすぐ解約する

作ったクレジットカードをすぐ解約すると、次からは同じ会社でクレジットカードを作れなくなることがあります。

クレジットカードの新規作成時には、大幅なポイント還元やキャッシュバック、プレゼントなどの特典がよくあります。クレジットカードをすぐに解約すると、カード会社に「ポイントやプレゼント狙いだった」と思われてしまう可能性があるのです。それに、クレジットカード会社にしてみれば、クレジットカードの発行コストも無駄になってしまうのですから、「次からはお断り」としたくなるのもわかります。

作成したクレジットカードは、最低でも1年間は使ったり、保有したりしてから解約しましょう。

短期間に多くのクレジットカードを申し込む

1〜2か月ほどの短期間で複数のクレジットカードを申し込む「多重申し込み」をすると、信用力が下がり、クレジットカードの審査に通らなくなることがあります。

クレジットカードの申し込みの記録は、クレジットやローンの契約・申し込みの情報を管理する「信用情報機関」に6か月間保管されます。カード会社は、クレジットカードの審査の際に信用情報機関の情報を参照します。カード会社はここで、多重申し込みに気づきます。「たくさんクレジットカードを申し込むということは、返せないほどのお金を借りたいのではないか」カード会社がそう警戒することで、審査に通らなくなるのです。

新たにクレジットカードを申し込むことがあれば、最低でも6か月は時間をあけてからにしたほうがいいでしょう。

自分名義のクレジットカードを家族に使わせる

クレジットカードを使用できるのは、カード名義の本人だけです。たとえ家族であったとしても、自分名義のクレジットカードを使わせることはできません。家族カードを利用すれば、複数枚のクレジットカードの引き落としを1つの口座にまとめることができます。

キャッシング枠をたくさん利用する

クレジットカードには、お金を借りられるキャッシング枠があります。キャッシング枠を利用すればカード会社から簡単にお金を借りられますが、キャッシングが続くと、カード会社に「いつもお金が足りない人」と思われてしまうからです。また、キャッシング枠に設定されている金利は高いので、お金が貯まらない原因にもなります。たとえ借りられるとしても、安易にお金を借りてはいけません。

ギフト券、商品券、ブランド品などを大量購入する

ギフト券、商品券、ブランド品など、換金性の高い商品をクレジットカードで買うと、カード会社に「現金化」を疑われる場合があります。現金化とは、購入したギフト券、商品券、ブランド品などを買い取り業者に売ることで、現金を手にする行為をいいます。もちろん買値で売れるわけではありませんが、それなりの現金を手元に用意できるでしょう。

しかし、こうしたクレジットカードの現金化は、カード会社の規約で禁止されています。実際に現金化がカード会社に発覚すると、クレジットカードの利用停止や強制解約、会員資格の取消などの措置が取られます。そして、以後も新たなクレジットカードが作りにくくなる恐れが高まります。

ちなみに、信用力を下げる行為ではないのですが、クレジットカードを初めて作る場合も審査に通りにくい場合があります。クレジットカードの審査は、これまでのクレジットカードやローンの利用履歴(クレジットヒストリー、クレヒス)をもとに行います。クレジットカードやローンをこれまで一切利用したことがない人は、クレヒスがなく、お金をどう使うかわからないので、審査に通りにくいというわけです。

学生や新社会人であれば、比較的「初めて作る」という方が多いので問題ないようですが、そうでない場合は、まずは一般カードから申し込みを試してみましょう。

クレジットカードは、上手に利用すれば生活を便利でお得にしてくれます。しかし逆に、使い方を誤ればそうした便利さやお得さを享受できなくなってしまいます。自分に合った1枚を選び、信用を失うNG行為をしないようにしつつ、正しく使いこなしていきましょう。

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