10月13日、静岡県小山町で観光バスが横転し27人が死傷した事故で、バスの運転手は補助ブレーキを使い、手動でバスを制御しようと試みていたことがわかりました。警察は10月18日、メーカーの技術者立ち合いのもと車体の検証を行います。
10月13日、小山町の「ふじあざみライン」で観光バスが横転した事故。警察は被害の状況をまとめ、1人が亡くなり、8人が重傷、18人が軽傷を負ったと発表しました。
この事故で逮捕・送検されたバスの運転手(26)は「ブレーキが利かなくなった」と供述しています。捜査関係者によりますと、容疑者の運転手はフットブレーキが利かず、ハンドル近くにある補助ブレーキを使い、手動でバスを制御しようと試みていたことがわかりました。
「補助ブレーキ」はトラックやバスなど大型車についているブレーキの一種。排気ブレーキとも呼ばれます。大型車の免許教習を行う静鉄自動車学校に見せてもらいました。
<山本太朗記者>
「補助ブレーキはどこにある?」
<静鉄自動車学校 鈴木孝洋運営部長>
「一般的に補助ブレーキは、このレバーを手前に引くと、排気ブレーキが利くようになっている。簡単に言うと、マフラーを塞ぐようにして、排気ガスが外に直接でないようにこもらせてエンジンの回転数を落とすのが役目」
大型バスのように車両が重いと下り坂ではスピードが出てしまいます。大型車で下り坂を走る場合は、シフトレバーを操作するエンジンブレーキと一緒に補助ブレーキを使うよう指導するといいます。
高低差300m、急勾配で知られる日本平の山頂から実際にバスを走らせてもらいました。
<静鉄自動車学校 鈴木孝洋運営部長>
「これで今、スピードが上がってきますのでギアを落とします。これでエンジンブレーキが利いている状態。カーブが見えるので、今、補助ブレーキを引きました。足りないのでポイントでフットブレーキを足す。速度を落とした状態でフットブレーキを離せば、それ以上、速度が上がることはない」
急な下り坂では速度が増してしまう前に、エンジンブレーキと補助ブレーキを併用するのが原則。フットブレーキの多用はブレーキの使い過ぎにより利きが著しく悪くなる「フェード現象」を招く恐れがあり、避けるように指導するといいます。
バス運行会社によると容疑者の運転手が事故のあったコースを運転したのは今回が初めてでした。警察はブレーキを踏み続けたことによるフェード現象やブレーキ圧の低下の可能性が高いとみて捜査を進めていて、18日、メーカーの技術者立ち合いのもとブレーキやタイヤを中心に車体の検証を行います。