「父親に連れていかれたような町中華の店を」35か国を旅しながら、ラーメン修行した店主が作る 本格派の一杯=静岡・静岡市【愛情ごはん】

静岡県静岡市葵区の中央卸売市場のすぐ横にある「らぁ麺ここん」朝7時オープン。元蕎麦屋の店舗をそのまま使った懐かしい雰囲気で味わう本格派なラーメンを求め、開店直後からお客さんで賑わいます。

朝来たらぜひ味わいたい一杯が「水だし煮干しかけ」。苦みを抑えるために、二晩かけて水出しした煮干しのだしが効いた、あっさり味の醤油ラーメンです。気軽に楽しんでほしいと、ワンコイン価格なのも嬉しいですね。

店長の加藤良太さん。自分にしかできないことがしたいと、小さな頃から大好きだったラーメンの店を2年前にオープンしました。

<らぁ麺ここん 加藤良太店長>

「自分が子どもの頃に行った町中華、誰でもふらっと寄れるような店にしたい。出身が掛川なんですけど、掛川に古くからあるようなラーメン屋、父親が通っていた店に連れていってもらって、ラーメンを食べるのが幸せでした」

お店の看板メニューが「鶏ガラ中華そば」。8時間かけてじっくり炊いた鶏ガラスープは、3種類の部位をぜいたくに使い、鶏の旨味が強く効いた癖になる醤油ラーメンです。ラーメン店を志し、静岡の数々の有名店で腕を磨いた加藤さん。27歳のとき、独立を前に世界一周の旅に出ます。きっかけは、静岡の有名ラーメン店「麺や厨」を営み、加藤さんが師匠と仰ぐ天野洋平さんでした。天野さんも世界一周の旅の経験者です。

<麺や厨 天野洋平さん>

「熱に関してはピカイチ。(当時)年齢が22〜23だったと思う。よくその若さでこんなに熱意があるなって感じてた。日本の食文化は世界ナンバーワンだと思った。それも(世界に)出て初めて気がついた。彼にも同じような経験をしてもらえたらと思った」

加藤さんは35か国を旅しながら、ラーメン修行を行います。その土地の食材を使って創作ラーメンを作り、現地の人に振る舞いました。

<らぁ麺ここん 加藤良太店長>

「評判がよかったのはラクダのラーメン。コンソメスープを作ったんですけど。調味料も醤油とかがないので、名前も分からないような調味料を使った。醤油っぽいような。ソースのような味がした。色んな食材、色んな場所で色々な作り方をしてラーメンを作ってお客さんに提供するって、もっと自由に考えていいんだなって」

この経験を活かし、店では季節の創作ラーメンも味わうことができます。加藤さんは世界の食文化に触れたことで自分がなりたいラーメン屋が明確になりました。

<らぁ麺ここん 加藤良太店長>

「帰ってきて、経験したことを改めて考えなおして、父親に連れていかれたような町中華の店を開きたいと思った。楽しみながら、これからもラーメン屋として自分らしく成長していけたら」

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