異常…顔骨折の生後3カ月娘が死亡、父は無理やりミルク流し込んだか「病院に連れて行くことではない」

乳児の娘死亡、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親=埼玉県美里町

 2020年9月、生後2~3カ月だった娘に適切な医療処置などの生存に必要な保護を受けさせなかったなどとして、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた埼玉県美里町関、無職の父親(31)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日、さいたま地裁(北村和裁判長)で開かれた。検察側は「犯行態様は悪質で結果が重大」などとして懲役11年を求刑。弁護側は懲役7年を求めて結審した。判決は24日。

 検察側は論告で、父親は無理やりミルクを流し込ませるなどの行為をしていたと指摘。「異常な状態は一定期間継続されていた」と述べた。また、父親は逮捕されることを恐れたことから、保身のために病院に連れていかなかったとし、「意思決定は強い非難に当たる」とした。

 一方弁護側は弁論で、さまざまな方法でミルクを飲ませており、「雑に扱う意図で行ったわけではない」と主張。病院に連れていかなかったことに対しては、「病院に連れていくまでのこととは思っていなかった」などと説明した。

 起訴状などによると、父親は妻(29)=同罪などで起訴=と共謀し、20年8月ごろ、娘が下顎骨折に伴う下顎歯槽挫裂創により哺乳困難になり、体重が増加せず、同年9月上旬ごろには肋骨(ろっこつ)骨折していたのにもかかわらず、医師への診断など生存に必要な保護を与えず放置し、同年9月11日ごろ、低栄養状態に伴う免疫力低下によって生じた菌血症による全身機能障害により死亡させたとされる。

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