水産庁「マーケット・イン型養殖業」 たちばな漁協の4業者採択 産学官で経営支援

漁場を視察するNPO法人と産学官の関係者=橘湾

 水産庁が養殖経営体の生産基盤を強化する「マーケット・イン型養殖業等実証事業」に、長崎市戸石町の市たちばな漁協の4事業者が採択された。長崎総合科学大、市水産センターも協力しており、産学官連携による経営改善支援は県内初。全国的にも珍しい取り組みという。
 マーケット・イン型養殖業は、需要に応じた養殖品目や利用形態の質、量の情報を入手し、その需要に対して定質、定量、定時、定価格の養殖生産物を計画的に供給する仕組み。
 今回採択されたのは、トラフグやシマアジ、マダイなどを養殖するマルシゲ水産、昌陽水産、千寿水産、雄昇水産の4事業者。いずれも認定養殖業の改善計画作成に必要な外部評価費の定額支援を受けた。
 11、12両日、水産庁の委託を受けたNPO法人が各事業者の漁場を視察し、ヒアリングを行った。これを踏まえて各事業者は事業計画を作成し、養殖、流通、金融、経営分野の有識者でつくる評価委員会が認定すれば、必要資機材の導入経費を国が半額補助する。
 マルシゲ水産の現場主任の牧島敏裕さん(37)は「外部からの評価が分かって良かった」と話した。事業申請に協力した長崎総合科学大オープンイノベーションセンター長の藤原章准教授は「課題把握や財務評価に加え、品質管理や成長性などの非財務評価を付加することで、新たな資金調達やマーケティング機能強化が期待される。養殖業者が安定して資金を得られるように、将来的には投資を呼び込みたい」と話した。


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