ロシターと交代。プジョー加入のニコ・ミューラー、WEC最終戦でのハイパーカーデビューが決定

 プジョーは、11月10~12日に開催されるWEC世界耐久選手権のシーズンファイナルで、新加入のニコ・ミューラーがフランスのLMH(ル・マン・ハイパーカー)メーカーからデビューすることを確認した。

 Sportscar365が以前報じたように、先月プジョーに加入し2023年のレースシートを獲得した元アウディワークスドライバーであるミューラーは、来月のバーレーン8時間レースでジェームス・ロシターに代わって94号車のプジョー9X8をドライブすることになった。

 ロシターはプジョーのハイパーカー・プログラムにおける最初の2レース、第4戦モンツァと第5戦富士に出場したが、新チームであるマセラティMSGレーシング・フォーミュラEのチーム代表としての新しい役割に集中するため、プジョーのレースシートから退いている

 プジョーとマセラティ、このふたつのブランドはともにステランティス・オートモーティブ・グループの傘下にある。

 ミューラーは94号車プジョー9X8をロイック・デュバル、グスタボ・メネゼスとシェアする。一方、姉妹車の93号車は引き続きポール・ディ・レスタ、ジャン-エリック・ベルニュ、ミケル・イェンセンがドライブする予定だ。

「バーレーンでのプジョー9X8デビューをとても楽しみにしている」とミューラーは語った。

「WEC富士の後に行われたモンツァでのテストで初めてマシンをドライブしたが、とてもうまくいった。すぐに自信がつきロングランもできたし、いろいろなタイヤを試すこともできた」

「僕は新しいクルマにもすぐに適応できるほうだ。キャリアの初めにも同じような経験をした。2007年の上海でね、LMP2プロトタイプカーで10周しただけでレースに参加したんだ」

「バーレーンはプジョー9X8にさらに慣れるチャンスだ。サトリーのチーム本部にあるシミュレーターと同様にね。このシミュレーターはとても精密で貴重なツールなんだ」

2023年のWECハイパーカークラス参戦を目指し、プジョーに加入したニコ・ミューラー。今季は開発チームでの活動予定だったがデビューが早まった

 プジョーのWECテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニによると、ミューラーは今月初めにモンツァで行われたテストで、フランスのファクトリーチームに「感銘を与えた」という。

「彼は冷静で集中力があり、プジョー9X8に関して新しいチームメイトの意見を裏付けるような貴重なフィードバックをしてくれた」とジャンソニは報告した。

「彼は簡単にチームに溶け込み、今ではバーレーンでのハイパーカーデビューに向け、万全の体制を整えている」

「この1年あまりの間にジェームス(・ロシター)が成し遂げてきた偉大な仕事に、チームのみんなを代表して敬意を表する」

「彼はあと数週間、リザーブドライバー兼シミュレーターでの開発ドライバーとして残り、彼が理想とする新たなチャレンジに向かうことになる」

■ミューラーが抜けるベクター・スポーツは代役ドライバーを用意

 当初、計画が中止されたアウディLMDhプロジェクトに携わる予定だったミューラー。彼は今シーズン、ベクター・スポーツからWEC LMP2クラスに参戦していたが、第6戦バーレーンではこのイギリスチームを離れることになる。

 そのためベクター・スポーツは、ミューラーに代わって最終戦に出場するドライバー用意する必要があり、ランガー・バン・デル・ザンデに白羽の矢を立てた。

 IMSAのデイトナ24時間レースで2度の優勝経験を持つバン・デル・ザンドは、ミューラーの代役として2戦連続でベクターの10号車オレカ07・ギブソンをドライブすることになった。

 彼は先月、スイス人のエースドライバーがDTMドイツ・ツーリングカー選手権との日程重複により富士6時間レースを欠場することになった際にも、ミューラーの代役を務めていた。

ベクター・スポーツの10号車オレカ07・ギブソン(ニコ・ミューラー/ライアン・カレン/セバスチャン・ブルデー) 2022年WEC第4戦モンツァ

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