10月17日(月)東京六大学野球秋季リーグ戦 明大3回戦 @明治神宮野球場
秋2連覇へ向けて後がない慶大は初回、2死一、二塁から5番・山本晃大(総4・浦和学院)が右翼席へ先制の3点本塁打を放ち、序盤から主導権を握ることに成功する。3回には3番・廣瀬隆太(商3・慶應)のソロ本塁打で追加点を挙げると、終盤にも3点を加え、終始試合を優位に進めた。投げては先発・増居翔太(総4・彦根東)が6回途中を無失点、後を受けた2番手・橋本達弥(環4・長田)も無失点の完封リレーで、首位・明大から勝ち点を奪った。これで慶大は勝ち点4で単独首位に立ち、最終週の早慶戦で勝ち点を挙げると、秋は2年連続の優勝が決まる。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計 明大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 慶大 3 0 1 0 0 0 1 2 X 7
明大バッテリー:●蒔田、千葉、石原、髙山、菱川-蓑尾
慶大バッテリー:○増居、橋本達-宮崎
明大本塁打:
慶大本塁打:山本3号3ラン(1回先制・蒔田)、廣瀬3号ソロ(3回・蒔田)
◆慶大出場選手
打順 守備位置 名前(学部学年・出身校) 1 [6] 朝日晴人(環4・彦根東) 2 [5] 下山悠介(商4・慶應) 3 [3] 廣瀬隆太(商3・慶應) 4 [8] 萩尾匡也(環4・文徳) 5 [9] 山本晃大(総4・浦和学院) 6 [4] 古川智也(環4・広島新庄) 7 [7] 宮尾将(商4・慶應) 8 [2] 宮崎恭輔(環3・國學院久我山) 9 [1] 増居翔太(総4・彦根東) 1 橋本達弥(環4・長田)
天王山と目された首位攻防戦は、勝負の第3戦を迎えた。第2戦では8回まで2安打と苦しむ中で9回に主砲・萩尾匡也(環4・文徳)の3点本塁打で同点に追いつくも、最後はサヨナラ負けを喫した。昨季は明大3回戦で敗戦し優勝争いから脱落したが、今季も明大2回戦を終えて崖っぷちに立たされている。しかし勝てば優勝に大きく近づく1戦である以上、勝利だけは絶対に譲れない。
山本の1発でチームに勢いを与えた
先発は第1戦と同じく慶大・増居、明大・蒔田稔(商3・九州学院)が務めたが、序盤から明暗が大きく分かれることになる。1回表、増居は勢いのある明大上位打線を三者凡退に打ち取り、チームに流れを呼び込む。その裏、慶大は1死から2番・下山悠介(商4・慶應)が右前安打で出塁すると、2死一、二塁と好機を広げ蒔田を攻め立てる。ここで5番・山本が右翼席へ飛び込む先制の3点本塁打を放ち、初回から3点のリードを奪う。3回には3番・廣瀬が、蒔田が投じた低めの直球を振り抜き、これが左中間席へのソロ本塁打となり差を4点に広げる。廣瀬はこの一発が早大・蛭間拓哉(スポ4・浦和学院)を上回る現役単独最多の13号の本塁打となった。
廣瀬は現役単独最多の13号を放った
この日の増居にとって、4点のリードは十分な点差であった。走者を出しながらも、140km台中盤の直球をコーナーに決め、明大打線に得点を与えない投球を展開する。2回は2死一、三塁のピンチも8番・直井宏路(商2・桐光学園)を中直に、5回の2死一、三塁のピンチは2番・飯森太慈(政経2・佼成学園)を中飛に打ち取り、慶大は4-0でリードしたまま試合を折り返す。
中1日の登板も6回途中無失点で抑えた
6回表、増居は1死から明大4番・上田希由翔(国日3・愛産大三河)にこの試合初の長打となる左翼線への二塁打を浴びる。2死後、四球と安打で満塁のピンチを背負うと、慶大ベンチは早めの継投を決断する。2番手・橋本達が3戦連投となるマウンドへ向かい、8番・直井と対峙する。最後は高めのフォークを振らせて空振り三振に打ち取り、無失点で切り抜けた。
窮地を凌ぎ、完全投球でリリーフした
流れを渡さなかった慶大は7回、明大4番手・髙山陽成(文4・作新学院)に対し2死二塁から4番・萩尾が左前へ弾き返し、待望の5点目を奪う。続く8回も2四球で1死一、二塁の好機を迎えると、8番・宮崎恭輔(環3・國學院久我山)が左中間へ2点適時二塁打を放ち7点差をつけた。投げては2番手・橋本達が、大学日本代表でも共闘した3番・宗山塁(商2・広陵)や4番・上田を圧倒するなど、3回途中を完全投球で締めくくりゲームセット。昨季苦杯を喫した明大に2勝1敗と勝ち越し、慶大は今季の勝ち点を4として単独首位に躍り出た。
宮崎は猛打賞&2打点の活躍を見せた
この日は両先発の出来が試合を左右したといえる。試合開始前後から雨が降り、マウンドの状態は決して良くない中でも、慶大・増居は自分の投球を貫いて6回途中を7安打無失点と好投した。一方で雨のマウンドに苦しんだ明大・蒔田を慶大打線は序盤から攻め立て、4回途中2本塁打4得点で降板に追い込んだ。中盤以降も塁上を賑わせ、明大投手陣にプレッシャーを与え続け、終盤の追加点につなげた辺りは、今のチーム状態の良さを窺わせるものであった。
勝ち点4で単独首位に立った慶大だが、優勝するための条件はただ1つ。それは「最終週の早慶戦で勝ち点を挙げること」。19年秋以降、秋季リーグ戦の早慶戦は優勝が懸かった、非常に緊迫したゲームが続いている。今季の早大も、第8週の明大―立大次第ではあるものの、早慶戦で勝ち点を取れば優勝の可能性があるだけに、例年と同様に緊張感のある好ゲームが期待される。春に逃した賜杯奪還を目指し、慶大野球部は全力で勝ち点奪取を狙うことだろう。
(記事:宮崎秀太、写真:北村可奈、佐藤光)
◆打撃成績
1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 [6] 朝日 空三振 中飛 二ゴロ 中安 四球 2 [5] 下山 右安 三飛 左飛 捕飛 左飛 3 [3] 廣瀬 空三振 左中本① 中安 空三振 4 [8] 萩尾 四球 右飛 左飛 左安① 5 [9] 山本 右本③ 遊飛 四球 四球 6 [4] 古川 投直 投ゴロ 空三振 投犠打 7 [7] 宮尾 二ゴロ 右安 四球 四球 8 [2] 宮崎 中安 右安 三併 中2② 9 [1] 増居 左飛 捕犠打 1 橋本達 遊ゴロ 空三振
◆投手成績
投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責 増居 5 2/3 25 83 7 5 1 0 0 橋本達 3 1/3 10 32 0 4 0 0 0