17年間で3つの超新星が見つかった銀河 ダークエネルギーカメラが撮影

【▲ ダークエネルギーカメラが撮影した渦巻銀河「NGC 4495」(Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA; Image Processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF’s NOIRLab))】

こちらは「かみのけ座」の方向約2億光年先にある渦巻銀河「NGC 4495」です。NGC 4495の銀河中心核は、弱い活動性を示すLINER(※)であることが知られています。中心部分を取り囲む渦巻腕(渦状腕)がある銀河円盤の周辺にも、淡い腕のような構造が幾つか伸びている様子が捉えられています。

※…LINER:Low-Ionization Nuclear Emission-line Regionの略。低電離中心核輝線領域、ライナー。

画像を公開した米国科学財団(NSF)の国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、NGC 4495ではわずか20年ほどの間に3つの超新星「SN 1994S」「SN 2010lo」「SN 2011ca」が検出されています。

超新星は幾つかのプロセスで起きると考えられていて、たとえば白色矮星にガスが降り積もって一定の質量に達するか、あるいは白色矮星どうしが合体することで発生する超新星は「Ia型」に分類されています。1994年6月に発見されたSN 1994Sは、このIa型でした。

参考:「Ia型超新星」発生直後の閃光を捉えることに成功 東京大学木曽観測所の観測装置

いっぽう、生涯の最後を迎えた大質量星のコア(核)が崩壊することで起きる超新星は、爆発した星の外層の状態によって「Ib型」「Ic型」「II型」に分類されています。2011年4月に発見されたSN 2011caは、Ic型超新星だったと考えられています。ちなみに、そのわずか4か月前の2010年12月に発見されたSN 2010loは、どのタイプの超新星だったのかがわかっていないようです。

参考:主星の超新星爆発を生き延びた伴星か? ハッブル宇宙望遠鏡による観測成果

この画像は、チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されました。その名が示すようにダークエネルギー(暗黒エネルギー)の研究を主な目的として開発されたDECamは、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影できる巨大なデジタルカメラのような装置です(画素数約520メガピクセル)。DECamによるダークエネルギー研究のための観測は、2013年から2019年にかけて実施されました。

冒頭の画像はNOIRLabの“今週の一枚”として、2022年10月12日付で公開されています。

関連:ダークエネルギーカメラが捉えた散光星雲「NGC 6357」

Source

  • Image Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA; Image Processing: Travis Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), Jen Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), Mahdi Zamani & Davide de Martin (NSF’s NOIRLab)
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文/松村武宏

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