前年比3%の電力削減で最大5,000円相当のポイント付与、お得な節電ポイントの是非

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。10月12日(水)放送の「FLAG NEWS」のコーナーでは、今冬実施される“節電ポイント”について取り上げました。

◆電力量3%削減で最大5,000円相当のポイント付与

経済産業省は、この冬に節電に取り組む家庭などにポイント還元する制度の詳細を発表。制度に登録した家庭が月々の電気使用量を前年より3%減らした場合、最大で5,000円相当のポイントが付与されます。

また、電力需給が厳しい場合など日時を指定した節電依頼に協力すれば、追加でポイントがもらえます。2023年1月分から3月分の電気料金が対象となり、ポイントは買い物などで使用できるということです。

◆経産省が打ち出す施策に、Z世代の反応は?

インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは、"3%”の削減という部分で「これまで電気をあまり使ってこなかった人のほうが削減するのが難しく、昨年まで大量に(電気を)使っていた人のほうが削減しやすい。この制度は本当に公平なのか」と制度設計について指摘。

さらに、「長期的な目線に立った場合、毎回こうしてお金を払いポイントを付与しないと反応しない国民を育てていくことが合理的なのか」と危惧し、政治家や行政のメッセージで行動を促さなければ、いつまで経ってもポイント頼りになってしまうことを案じます。

気候変動対策に取り組むFridays For Future Tokyoオーガナイザーの黒部睦さんも能條さんに同意し、「(日頃)節電している人たちがやりにくいものでいいのか、本当にそこがターゲットでいいのか」との苦言も。そして、「一時的な節電だけじゃなく省エネが必要」と主張します。

気候変動対策においても"省エネ”は再生可能エネルギー(再エネ)に移行することと同様に大事なことで「特に大きな企業などはやろうと思えば減らせる。そうしたことを一時的なこととして取り組むのではなく、気候変動対策の一部として考えていく必要がある」と訴えます。

"省エネ”という部分でいうと、「節電と併せて"断熱”も重要」と能條さん。東京都は節電ポイント同様、断熱にも予算を設けていることに触れ、例えば断熱のために窓を変えることに助成金を出している自治体もあることを紹介。「自分の住む地域にどんな助成があるのか調べ、みんなが断熱するようになれば(節電も)根本的に変わっていくと思う」と期待します。

一方、microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは「日頃事業を行うなかで思うのは、大勢の人を動かすには人の欲望に即した行動を取らないといけない」と持論を述べ、「人は欲望ベースで動くという前提のもと」施策を行うべきと声を大にします。

今回の節電の話も能條さんも指摘していた通り、これまで大量に電気を使っていた人ほど得をするというロジックはあるものの、「短期的に見ればこの施策も来年3月までのものなので、それでこの冬が乗り切れるならいいと思う」と節電ポイントを肯定。そして、長期的に見た場合には省エネや再エネへと転換していくことが必要と力説。

渋谷さんの意見に、能條さんは「民間事業者の視点では人間は自分の欲求しか考えていない想定でいいと思うが、税金の使い道を考える際、公として市民像を想定する場合、"そうした人たちしかいない”と考えるとなんでも金銭的なインセンティブでしか動かない人たちなってしまうのではないか」と懸念します。

その指摘に対し、「税金の使い方が教育に繋がるかといえば、それはないと思う」と渋谷さん。むしろそうしたいのであれば、より小中高の教育プランに組み込むべきとし、「税金の配分の仕方についてなど、考える人はリテラシーの高めの人で、そもそも多くの人は考えないと思う。僕が対象としているのはマスの話」と意見をたたかわせました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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