新幹線に刃物男 乗客人質、熊谷に緊急停車…実際は「正解もパターンもない」 警察、JRなどが合同訓練

新幹線の車内で刃物を振り回し警察官を威嚇する犯人役の警察官(左)=18日午前11時27分ごろ、高崎―熊谷間を走行中の上越新幹線車内

 新幹線内での不審者に対応するため、埼玉県警は18日、JR東日本などと、車両内で刃物を持った不審者への対処訓練を行った。

 訓練には、県警や同社、群馬県警など5団体が参加。高崎(群馬県)―熊谷間を走行する上越新幹線上り列車の訓練用臨時列車内で実施した。

 訓練は、刃物を持った不審者役の警察官を乗客が認知し、車内にある非常通報装置を押したところから開始。緊急事態を認知した警備員と車掌が盾などを持って対応し、客を別の車両に避難させた。

 不審者は、近くにいた乗客を人質に取り、抵抗。新幹線は客の安全を優先し、熊谷駅に緊急停車し、客をホームに誘導した。不審者がホームに降りたところを県警と群馬県警が取り押さえ、人質を保護した。

 同社新幹線統括本部新幹線企画戦略部深見真悟ユニットリーダーは「実際に事件が起きたときは、正解もパターンもない。訓練でいろいろな引き出しやノウハウを積み重ねたい。警察と連携をどのように取っていくかも考えなくてはいけない」と語った。

 県警鉄道警察隊の及川直美隊長は「不審者がいると思ったらすぐに離れ、できれば110番を早めにしてほしい」と助言。今回の訓練で「有事の際、どう動いたら良いかつかみ、生かしてもらえたら」と口にした。

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