諫干即時開門第2、3陣訴訟 結審、来年3月に判決 福岡高裁

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りで漁業被害が生じたとして、諫早、雲仙両市の漁業者26人が国に即時開門を求めた第2、3陣訴訟の控訴審は18日、福岡高裁(森冨義明裁判長)で結審した。判決は来年3月28日。
 漁業者側は最終準備書面で、有明海特産の高級二枚貝「タイラギ」が1993年度の漁期以降、水揚げがなく現在も回復していない状況などを示し、「閉め切りで諫早湾内の漁場環境が変化し、漁獲量が減少したことは科学的に見ても明らか」だと主張。馬奈木昭雄弁護団長は「地域の対立や分断を解消し、将来にわたる良き方向性を得るべく、必要な和解協議が実現することに寄与する判決を切望する」と意見陳述した。
 一方、国は「(各漁協と結んだ)漁業補償契約で控訴人らが開門を求めることはできない」「控訴人らに漁業被害が生じたとも、本件事業との間に因果関係があるとも認められない」などと請求棄却を求める最終準備書面を提出した。
 同訴訟は第2陣が2010年、第3陣が11年に提訴し、併合審理となった。一審長崎地裁判決は20年3月、「閉め切りによる環境変化が漁場環境を悪化させたとは認められない」として請求を棄却し、漁業者側が控訴していた。第1陣は19年6月、最高裁で原告敗訴が確定。第4陣は長崎地裁で審理が続いている。


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