スティングの不朽の名盤、35周年記念版として配信でリリース

スティング(Sting)の1987年のセカンド・ソロ・アルバム『…Nothing Like the Sun』の35周年記念したエクスパンデッド・エディションが2022年10月13日に配信でリリースされた。

このアルバムには、オリジナル・アルバムからの12曲に、B面曲、リミックス、オルタナティブ・ヴァージョン、インストゥルメンタルなど14曲のボーナストラックを加えた全26曲が収録されている。

この新装版についてスティングはこう記している。

「このアルバムを振り返ってみると、当時は気づいていなかったが、この作品は私の母について書かれたものだと実感した。母と娘、愛人と妻、姉妹、どの曲もそのどれかがテーマになっている。驚きだった」

スティングの母親は1986年末に亡くなったが、それから間もない1987年初めに、彼と彼のバンドはモントセラト島にあるAIRスタジオで4ヶ月に及ぶ集中的なレコーディングを開始している。

1985年にリリースされ、トリプル・プラチナの大ヒットを記録したスティングのファースト・ソロ・アルバム『The Dream of the Blue Turtles』に次ぐ、このセカンド・アルバムのタイトルは、シェイクスピアのソネット130番(「My mistress’ eyes are nothing like the sun」)に由来している。アップテンポなファースト・シングル「We’ll Be Together」は、アニー・レノックスをバック・ボーカルに迎え、瞬く間にヒットとなった。

他にも、ニューヨーク在住の英国人作家、クエンティン・クリスプに捧げた「Englishman in New York」や、ニカラグアでコントラ(親米反政府民兵)に殺されたアメリカ人土木技師について書いた「Fragile」などを収録したアルバム『…Nothing Like the Sun』は、スティングの不朽の名作として知られている。

歌詞のインスピレーションは、1986年にスティングが参加した人権団体アムネスティ・インターナショナル主催の慈善コンサート・ツアー“Conspiracy of Hope Tour”から得られたもので、特に「They Dance Alone」は、当時のチリの軍事独裁政権によって拷問され、殺害された人々について、彼らの妻や娘の目を通して歌ったものだ。

スティング、ヒュー・パジャム、ブライアン・ローレン、ニール・ドーフスマンがプロデュースを手掛けたこのアルバムには、ポリスのバンドメイトであるアンディ・サマーズが「The Lazarus Heart」 に、ハイラム・ブロックがジミ・ヘンドリックスの「Little Wing」に、マーク・ノップラー、エリック・クラプトン、ファリード・ハークが「They Dance Alone」に参加するなど、多くのギタリストに加え、キーボーディストのギル・エヴァンスとケニー・カークランド、サックス奏者のブランフォード・マルサリス、ドラマーのマヌ・カッチェら豪華ミュージシャンが参加している。

スティングは全曲のアレンジに加え、リード・ヴォーカル、ベースとコントラバス、「History Will Teach Us Nothing」ではスパニッシュ・ギター、「Fragile」ではアコースティック・ギターも演奏している。

UKと日本のアルバム・チャートで首位に輝き、全米レコード協会からダブル・プラチナ認定を受けたこのアルバムは、1988年のブリット・アワードで”最優秀ブリティッシュ・アルバム賞”を受賞したほか、グラミー賞で3部門にノミネートされた。

Written By Paul Sexton

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スティング『…Nothing Like the Sun』35周年記念版
2022年10月13日

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