九州高校野球大会 沖縄で22日開幕 長崎日大、海星が挑む

【写真左から】今季から捕手にコンバートされた海星の主将田川=長崎市、県営ビッグNスタジアム/攻守両面でチームを引っ張る長崎日大の主将平尾=諫早市、長崎日大高野球場

 来春の選抜大会(甲子園)につながる第151回九州地区高校野球大会は22~28日、沖縄県沖縄市などで16校が出場して行われる。長崎県勢は県大会優勝の長崎日大が3季連続26度目、第2代表の海星が2季ぶり44度目の出場。長崎日大は第1日の第1試合(22日10時・タピックスタジアム名護)で文徳(熊本2位)と、海星は第2日の第2試合(23日13時・コザしんきんスタジアム)で東海大熊本星翔(熊本1位)との1回戦に臨む。九州勢の選抜出場枠は4。まずは初戦で勢いづき、出場が有力となる4強以上へ駆け上がっていきたい。本番直前、両校の横顔を紹介する。

■長崎日大 2年連続選抜へ攻守充実

 昨秋は県2位から九州4強に入って選抜出場。今季は早い段階からとにかく実戦を積み、主要県大会で6年ぶりの頂点に立った。5試合計4失点と安定感があり、主将の平尾は「守備でリズムをつくって、いい形で攻撃につなげる。まずはベスト4。今年は九州でも優勝を目指す」と力強い。
 投手陣は県大会で5人が登板してチーム防御率0.90。準々決勝以降の波佐見、大崎、海星戦は計1失点だった。1年生でエースナンバーを背負う西尾、昨季もメンバー入りした廣田の両右腕が中心。準決勝で7回1失点の西尾は球速140キロ前後、決勝で完封した廣田は130キロ台で、それぞれ複数の変化球で巧みに緩急をつけていく。
 県大会後の15日には海星と練習試合で再戦。決勝では登板しなかった西尾、調子を上げている三丸も好投し、完封リレーでさらに弾みをつけた。四球で崩れる心配は少なく、バックもフットワークがいい捕手豊田や遊撃下坂、昨季からスタメン出場する中堅平尾らを軸に、いい意味で秋らしくない落ち着きがある。
 チーム打率は3割4分9厘。準々決勝以降で34安打を放った。8安打で打率5割超の松本が決勝はスタメンから外れ、代わりに入った立石が先制三塁打と競争も激しい。1番平尾の出塁、3、4番の豊田、平岩らの勝負強さは特に期待したい。
 長年部長を務めた43歳の平山監督が指揮を執って5シーズン目。昨年からは同じくOBで平山監督の後輩、山内部長も加わって順調に結果を残している。さらなる飛躍へ、平山監督は「どれだけ落ち着いてやれるか。そこしか求めていない」と静かに闘志を燃やす。

■海星 堅守崩さず“夏春”連続へ

 県大会は初戦から長崎商と難敵が続く中、接戦をものにしながら代表権をつかんだ。昨秋の九州大会は、力がありながらも準々決勝で有田工(佐賀)に完封負け。加藤監督が「何をやってもあの負けは取り返せない」と唇をかむほどチームにとって忘れられない敗戦となった。先輩たちの分まで、秋の雪辱は秋に果たす。
 夏の甲子園で16強入りした前チームほどの迫力は現時点ではないが、伸びしろを十分に感じさせる好チーム。県大会は敗れた決勝を含めて全試合2失点以内でチーム防御率1.50と堅守だった。登板した5人の中でも、変化球をコーナーへ出し入れするエース左腕の吉田翔、上背こそないものの投げっぷりがいい右の髙野が存在感を示した。
 野手は昨季三塁メインだった主将の田川を捕手にコンバート。内野陣は甲子園の2回戦でスーパープレーを見せた二塁峯のほか、田中、永田の三遊間の1年生コンビも注目したい。第2代表で難しい組み合わせだが、県大会と同様、守備で崩れなければ、しっかりと上位進出は見えてくる。
 その上で打線の奮起が欠かせない。県大会のチーム打率は2割9分4厘と“強打の海星”はやや影を潜めた。それでも、13打数6安打の岩永、上位陣で安定して快音を響かせた田中、山口、永田ら今季から主力を担う選手たちが活躍。田川とともに昨季もスタメン出場した平尾らがどれだけ引っ張っていけるかが一つのカギになりそうだ。
 2016年以来の春切符、46年ぶりの“夏春連続”甲子園に向け、田川は「今年こそ春も行く。自分がぶれたらチームがぶれる」と歴代の先輩と同じ言葉で気合を入れる。


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