歌舞伎&落語、史上初のコラボが実現! 中村芝翫と春風亭小朝が「忠臣蔵」夢の競演

国立劇場11月歌舞伎公演『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』11月2日~25日に上演。
多彩な伝統芸能の上演により、 芸能の振興と技芸の伝承に取り組んできた国立劇場。
令和4年9月~令和5年10月まで、 「初代国立劇場さよなら公演」と題して、 開場以来の集大成――未来へつなぐ記念公演。
「初代国立劇場さよなら公演」歌舞伎の第二弾となる11月は、 義太夫狂言三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』を上演します。 今回は、 “歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”と銘打ち、 国立劇場ならではのジャンルを超えた特別企画。
中村芝翫が約30年ぶりに早野勘平(はやのかんぺい)を演じる『仮名手本忠臣蔵』五・六段目と、 落語家・春風亭小朝による「忠臣蔵」にちなむ落語二席を。

今回、 落語を口演するのは、 多彩な活動で幅広い世代から人気を集める春風亭小朝。歌舞伎の「忠臣蔵」で早野勘平を演じるのは、 時代物から世話物まで様々の役に深みを増す中村芝翫。
史上初とも言われる歌舞伎と落語の同時上演となる。

落語の名作として知られる『中村仲蔵』は、 「忠臣蔵」五段目の登場人物である斧定九郎(おのさだくろう)の役づくりにまつわる初代中村仲蔵の出世噺。 落語で同作をお聴きいただいた上で、 仲蔵の工夫によって完成した「忠臣蔵」五段目と、 名場面として人気の六段目をご堪能いただく趣向。
歌舞伎と落語の競演で、 「忠臣蔵」の多面的な魅力が味わえる貴重な舞台

〈歌舞伎〉と〈落語〉は江戸の庶民のエンターテイメントとして誕生、どちらも江戸庶民からの絶大な支持を得て、 現代まで発展し続けてきた。
庶民の心をとらえた〈歌舞伎〉と〈落語〉は、 双方に影響を与え合い、それぞれの作品世界を豊かにしてきました。 落語の劇化では三遊亭圓朝の作品が真っ先に挙げられるが、落語に影響を与えた芝居となると、 何より も「忠臣蔵」が一番。

『仮名手本忠臣蔵』は、 江戸時代の特効薬にたとえて「芝居の独参湯(どくじんとう)」とも謳われ、 上演すれば大入り間違いなしといわれるほどの大人気。 初演以来270年以上にわたって繰り返し上演されてきた本作は、 「忠臣蔵もの」の原点であり、その影響は様々な芸能や文化へ広がりを見せている。

落語では、 『蔵丁稚(くらでっち)』『七段目』『九段目』など、 芝居の真似なども取り入れた噺が数多く生まれました。 その一つ『中村仲蔵』では、 五段目に登場する斧定九郎の役づくりに苦心した初代中村仲蔵の裏話が描かれています。 塩冶家(史実の浅野家)の家老の息子ながら、 札付きの悪党ゆえ勘当され、 今は盗賊の身となった定九郎。 それまでは典型的な山賊で、 どてら姿の野暮な端役にすぎなかった定九郎を、 仲蔵は月代(さかやき)を伸ばした白塗りの浪人風で演じ、 黒羽二重(くろはぶたえ)に朱鞘の大小を差し、 蛇の目の破れ傘を持った、 今日まで受け継がれる姿へと工夫。 今回の公演では、 多彩な広がりを見せる「忠臣蔵」の醍醐味を、 歌舞伎と落語の双方からたっぷりと。

早野勘平・斧定九郎

【落語】 『殿中でござる』『中村仲蔵』

落語『殿中(でんちゅう)でござる』
近年、 春風亭小朝がライフワークにしてきた菊池寛の小説を落語に仕立て直して口演する落語会「春風亭小朝独演会-菊池寛が落語になる日-」。 同会で発表した一席で、 松の廊下での刃傷から討ち入りまでを吉良上野介側の視点で描いた短編「吉良上野の立場」を元にしています。 赤穂事件とは何かを知らない方も、 自然に忠臣蔵の世界へいざないながら、 事件の顛末を新たな視点でお楽しみいただきます。

落語『中村仲蔵(なかむらなかぞう)』
名門の血筋ではない役者・中村仲蔵が、 下積みの辛酸を舐めながら、 芸道に精進する出世譚。
ある時、 「忠臣蔵」で“弁当幕”と称されていた五段目で、 端役の斧定九郎をあてがわれた仲蔵。 役づくりに悩み、 柳島の妙見堂に願掛けに参った帰り、 独特の風体の侍を見かけます。 芝居の初日、 その姿をもとに斬新な工夫を凝らして演じたところ、 感じ入った観客は息をのみます。 一方、 観客の反応に手ごたえを感じることのできなかった仲蔵は、 失意のまま江戸を去ろうとしますが、 座頭に名演と褒められて大出世する人情噺です。
夫婦の情愛も織り交ぜ、 懸命に芸の工夫を重ねる姿を描いた物語は、 今なお色褪せない内容です。
今日に伝わる定九郎役の型は、 後半の歌舞伎の舞台で実際にご堪能いただけます。

【歌舞伎】「忠臣蔵」五・六段目 ~勘平の苦悩と悲劇~

早野勘平(中村芝翫)
恋仲の腰元おかると束の間の逢瀬に耽り、 主君・塩冶判官の大事の時、 足利館(江戸城)にいなかった早野勘平。 「鉄砲渡し」 では、 自らの不忠を恥じ、 おかるの実家に身を寄せる勘平が、 簑をつけて鉄砲をかついだ猟師姿で登場し、 落ちぶれた境遇にあることを窺わせます。 思いがけず同じ家中の千崎弥五郎と出会った勘平は、 苦しい胸中を吐露するとともに、 仇討の同志に加わるため金を工面することを約束し、 仇討への強い想いを滲ませます。 「二つ玉」 の前半では、 初代中村仲蔵の工夫以来、 印象的な役となった斧定九郎の凄惨な殺しから死に様までが、 歌舞伎ならではの様式美たっぷりに展開します。 銃声の後に現れた勘平は、 定九郎の死骸の懐中の財布に気づき、 一度はその場を離れますが、 引き返して財布を取ると一目散に走り去ります。 迷いと喜びの錯綜した勘平の心理の動きが、 無言のまま効果的に描き出されます。

早野勘平(中村芝翫)

「勘平腹切」 の冒頭、 帰宅した勘平は、 濡れた着物から美しい浅葱(あさぎ)色の紋服に着替え、 色男ぶりを漂わせます。 おかるを迎えに来た遊女屋の話を聞いていた勘平は、 財布の模様をきっかけに、 昨夜撃ったのが義父の与市兵衛(よいちべえ)だと思い込み、 良心の呵責にさいなまれます。 おかるに真実を打ち明けられぬまま、 別れを惜しむ勘平の姿には悲哀が漂います。 そして、 この誤解からついに切腹へと至る勘平の苦悩が、 悲劇的に綴られていきます。
中村芝翫が、 平成5年(1993)の初役以来、 29年ぶり二度目となる勘平を演じる必見の舞台

明治以来の国立劇場設構想からおよそ100年。
伝統芸能の保存と振興に取り組むため
昭和41年国立劇場が誕生しました。
そして半世紀。
これは国立劇場が未来へ向けて
新たな飛躍を目指す一大プロジェクトです。

概要
〈初代国立劇場さよなら公演〉令和4年11月歌舞伎公演
令和4年度(第77回)文化庁芸術祭協賛公演
“歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”
落語
一、 『殿中でござる』
ー太神楽ー
二、 『中村仲蔵』
歌舞伎
『仮名手本忠臣蔵』二幕三場
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
\夜公演は/ コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆
落 語
『中村仲蔵』
歌舞伎
『仮名手本忠臣蔵』二幕
五段目 山崎街道二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
日程・会場 11月2日(水)~25日(金) ※7日(月)・16日(水)・23日(水・祝)は休演 ※17日(木)は貸切 国立劇場 大劇場
出 演
落語:春風亭小朝
歌舞伎:中村芝翫、 中村松江、 中村歌昇、 中村梅花、 市川笑也、 市村萬次郎、 中村歌六 ほか

公演詳細URL : https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2022/41110.html
特設サイト
https://www.ntj.jac.go.jp/future/

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