【横浜FC】引退発表の中村俊輔 今季最終戦へ「恩返しの思いでプレー」 普段通りに居残りシュート練習 

熊本戦に向けて調整するJ2横浜FCの中村俊=横浜市保土ケ谷区のLEOCトレーニングセンター

 サッカー元日本代表で、今季限りでの現役引退を発表したJ2横浜FCのMF中村俊輔(44)が19日、横浜市内で取材に応じ、熊本との今季最終戦(23日・えがおS)に向けて「応援してくれるファン、支えてくれた方に恩返しの思いを込めてプレーできれば」と意気込みを語った。横浜で生まれ育ち、国内外の第一線で長く活躍したレジェンドが輝かしいキャリアを締めくくる。

 「俺のことは全く気にしないでいいし、やり尽くした感じはある。あとは最後に少しでも(試合に)出られたら」

 代名詞となった左足のキックを武器に、プロの世界でプレーすること26年。現役最後の一戦を前にしても、歴戦のレフティーに余計な気負いは感じられない。

 この日は笑顔を交えながら仲間とボール回し。ハーフコートの紅白戦では前線で軽快な動きを披露した。居残りのシュート練習に精を出す姿もこれまでと変わらない。

 6月に古傷を抱える右足首の手術を受け、10月16日の金沢戦で約5カ月ぶりに公式戦出場。ボールを持てば前線に正確なパスを繰り出し、「十八番のダイビングヘッド」(中村)でゴールを逃す惜しいシーンも。

 チームはすでに来季のJ1昇格を決め、四方田監督は「コンディションが大丈夫なら戦力として必ず使いたい。日本サッカー界の宝なので、いい形で送り出せれば」と起用を明言した。

 シーズン終了後の11月上旬に引退会見を予定。現在の心境については、「言わなくていいでしょ。突然(動画投稿サイトの)ユーチューブとかやりだすかも。ネタはそのためにとっておくから」と冗談ぽく笑った。

 観衆を魅了するプレーで「ファンタジスタ」と形容されてきたMFは、現役ラストマッチでどんな姿をファンの記憶に残してくれるのか。

 「無駄な試合、気持ちが緩んでいい試合はない。何分出るか分からないけれど、全力で自分らしいプレーをできれば」と、悔いなくピッチを去るつもりだ。

© 株式会社神奈川新聞社