在宅医療の人材確保考える 大石知事と医師ら意見交換

在宅医療の現状や課題について、車座で意見を交わした大石知事(左から3人目)や医師、当事者家族ら=県庁

 長崎県内の高齢者が住み慣れた自宅などで暮らすための在宅医療・介護の充実に向け、大石賢吾知事や医療従事者、当事者家族らが16日、県庁で意見を交わした。高齢化の進行で需要は高まる一方で、医師やヘルパーらも高齢化。人材確保を進めるため、在宅医療などの意義や魅力を発信する重要性を指摘する声が上がった。
 さまざまな県政課題について、県民の考えを知事が直接聞く「こんな長崎どがんです会」の一環。県によると、県内の医療需要は2035年にピークを迎え、病床ではなく自宅や高齢者施設などで療養生活を送る人の割合は、今後さらに増えると推計されている。
 長崎市南部で在宅医療に取り組む医師は「高齢化と人口減で開業医が減り、南部は3、4人で在宅医療をまかなっている」と厳しい現状を紹介。南島原市の看護師は、体調を崩す高齢医師もいて「地域をよく知る医師が診療できなくなるのは、地域にとって大ダメージ」と語った。
 一方、母親を在宅で介護する長崎市の女性は「思った以上に(支援が)充実していて助かる。多くの人に伝えたい」と感謝。松浦市の医師は「(入院時と比べ)ご飯を食べられたり、痛み止めの量が減ったりと家の持つ力は大きく、多くの学びがある」として、若手医師らに魅力を伝えていくことも大切だとした。
 人手不足解消に向け、外国人労働者や移住者を活用する案なども出た。大石知事は「需要が増える中で人材確保への継続的な対応や、医療資源を活用する新たな仕組みが必要になる」と述べた。


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