鉄道開業から150年の記念の年に発見!これまで不明だった黎明期の日本人機関士像を明らかにする貴重な資料 [岡山県津山市]

 国内に現存する扇形機関車庫としては国内で2番目の規模を誇る「旧津山扇形機関車庫」など数多くの鉄道遺産がある、鉄道のまち「岡山県津山市」。

 日本に鉄道が敷設されて以来150年を記念する2022年、津山市と鉄道を結びつける新たな資料「岡山県津山市出身で日本人初の機関士 日下輝道(くさかてるみち)氏の履歴書や辞令書」が発見されました。

 文明開化の明治期、日本人最初の機関士となった人物として6人が知られていますが、これまでは名前のみが知られ、残念ながらそれぞれの詳細な人物像については不明のままでした。6人のうちの一人が津山市出身の「日下輝道氏」であることは以前から知られていました。

 「新修津山市史 近現代編」の執筆者で鉄道遺産に詳しい小西伸彦氏(就実大学総合歴史学科特任教授)が、津山市内で輝道氏の墓を発見。9月に、奈良県在住の子孫に当たる方のご自宅を訪問し、輝道氏に関する資料を発見しました。

 具体的には履歴書・辞令・命令書・勲章・賞状・肖像写真など多岐にわたり、これらにより輝道氏の生涯を詳細に知ることが可能となりました。

 これまで不明であった黎明期の日本人機関士像を明らかにする貴重な資料群で、日本鉄道史の中でも大変重要な資料と位置づけられます。今後の研究により、産業遺産として価値づけられることが期待されます。

 子孫の方から借り受けた資料28点を、11月1日まで、津山市立図書館(岡山県津山市新魚町17アルネ・津山4階)で公開しています。

■日下輝道氏 略歴
 1854(安政元)年4月5日、現在の津⼭市上之町で士族・日下休治郎の長男として生まれた。
 1871(明治4)年、藩命で東京の箕作秋坪塾に学んだが、同年の廃藩置県のため帰郷した。
 再び東京を目指した1873(明治6)年、神戸付近で鉄道建設工事を見て機関士になることを決意し、同年10月津山の先輩で神戸機関庫主任・大江太郎の紹介で、機関車組立夫として採用された。1874(明治7)年、火夫見習となりイギリス人お雇い外国人ジョン・アンダーソンの指導を受けた。
 1879(明治12)年8月7日、平松好太、岡崎梅吉とともに、イギリス人お雇い外国人エドモンド・グレゴリー・ホルサムから機関方に任命された。4月14日には新橋鉄道局で落合丑松、平野平左衛門、山下熊吉が任命されており、日下ら6名が邦人初の機関方である。
(日本交通協会鉄道先人録編集部編『鉄道先人録』、日本停車場株式会社出版事業部、1972年。日下家系図)

▼問い合わせ先 津山市観光文化部文化課(津山郷土博物館内)
電話番号 0868-22-4567

日下輝道氏肖像写真(展示資料)
履歴書の記載から1879(明治12)年に機関士になったことがうかがえる(展示資料)
勲章などの展示資料
子孫の方から借り受けた貴重な資料を、津山市立図書館で11月1日まで公開している