多様性ある森づくりへ 森林保全団体などと田辺市が協定

協定書に署名した真砂充敏市長(中央)と水谷伸吉事務局長(左)、中川雅也さん=和歌山県の田辺市長室で

 多様性のある森づくりや地域活性化を目指そうと和歌山県田辺市は、同市の育林業会社「中川」(文里2丁目)、音楽家の坂本龍一さんが代表を務める森林保全団体「more trees(モア・トゥリーズ)」(東京都渋谷区)と連携協定を結んだ。

 モア・トゥリーズは2007年に設立。「都市と森をつなぐ」を理念に、森林保全活動や国産材を活用した商品の企画販売などをしている。

 中川は16年に創業した林業ベンチャー。「木を切らない林業」を掲げ、育林業を営んでいる。

 モア・トゥリーズは、さまざまな樹種で構成される多様性のある森づくりに地域と協働で取り組もうと、国内16カ所、海外2カ所で「more treesの森」を展開。田辺市では今後、中辺路町野中の伐採跡地(約10ヘクタール)でウバメガシなどの広葉樹を植樹する予定で、日頃の育林作業は中川が担う。ほかに、外資系企業1社が資金支援などで協力することが決まっているという。

 18日に田辺市役所で協定の締結式があり、真砂充敏市長、モア・トゥリーズ事務局長の水谷伸吉さん、中川創業者の中川雅也さんが出席。協定書に署名した。

 真砂市長は「市では『森づくり構想』を策定し、持続可能な山村の暮らしの実現に取り組んでいる。両者の取り組みはこの理念と一致しており、協力しながら進めていきたい」と述べた。

 中川さんは「林業を通じた地方創生について模索する中で、モア・トゥリーズの活動に共感した」、水谷さんは「地域の皆さんと一緒に取り組みたい。森づくりを基軸とした関係人口づくりにもつながれば」と語った。

■市内の4森林組合とも 災害時の協力で協定

 田辺市は20日、市内にある四つの森林組合と、災害時の協力に関する協定を結んだ。

 市と協定を結んだのは、西牟婁森林組合(鮎川)、中辺路町森林組合(中辺路町)、龍神村森林組合(龍神村)、本宮町森林組合(本宮町)。地震や台風などの災害発生時、市の要請に応じて、倒木の撤去作業や森林所有者への連絡調整などで協力する。

 市山村林業課の担当者は「専門的な技術や高性能の林業機械をお持ちの森林組合に協力いただくことで、迅速な災害復旧につなげたい」と話している。

 市の災害に関する協定は163件目となる。

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