“被爆からの復興の象徴” お好み焼きをヨルダンへ 一行が現地へ出発

お好み焼きの歴史と味をはるか9000キロ離れた国、ヨルダンへ伝えようというプロジェクトです。20日、一行が現地に向け、出発しました。広島のソウルフードがいよいよ海を渡って中東へ…。

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出発の日を迎えたお好み焼きの人気店「いっちゃん」の店主・市居馨さん(68)と、オタフクソースの担当者などサポートメンバー4人です。

いっちゃん 店主 市居馨さん
「いつも通りで午前5時前に起きました。ただ、最終的に荷物をチェックしていると、けっこう忘れ物があったりして、それがちょっと大変でしたね」

中東の国ヨルダンは、砂漠気候のため、年間を通じて乾燥しています。湿度が高い日本と比べて、濃い目の味付けが好まれるそうです。

そのヨルダンへ広島のお好み焼きをどのように伝えるか…。イスラムの教えに合わせた食材選びはもちろん、味付けに至るまで試行錯誤の連続でした。

中根夕希キャスター
「お塩をかけるんですね」

市居馨さん
「これがね、やっぱり一番ベストかなっていう」

ことしの平和記念式典に参列したヨルダンの駐日大使リーナ・アンナーブさんです。

式典後、各国大使向けに開かれたお好み焼き体験会に特別な想いで参加していました。

ヨルダン リーナ・アンナーブ駐日大使
「お好み焼きの背景にとてもひかれました」

「1945年、原爆投下された際、苦しみを抱えていた多くの人を救った。そのようなお話すべてが、とてもとても心に響きます」

紛争が絶えない中東の和平に積極的に取り組むヨルダンは、平和教育にも国を挙げて取り組んでいます。

大使は、廃墟の広島から生まれたお好み焼きの歴史を知り、その味とともにヨルダンへ伝えてほしいと市居さんに依頼したのです。

その思いに応えて、市居さんも一肌脱ぎます。

縦60センチ、横160センチの大きな鉄板…。2人が並んで同時に調理でき、どこでも移動できるようにとキャスター付きにしました。市居さんからヨルダンの人たちへのとっておきのプレゼントです。

いっちゃん 店主 市居馨さん
「招待までしていただいて、お好み焼きを教えてくれとまで言われるわけですから」

「わたしとしては本当に、もう二度とないような名誉なことなので、何か残して帰りたい。なにか、つながるものを寄付して帰りたいと思ったら、まぁ、鉄板が一番いいのかなと。そうすると、それがあることによって、いつまでもみな、忘れることはないし」

「お好み焼きをヨルダンの人にも長く愛される料理にしたい」―。豚肉は鶏肉に…、そばはパスタに…。市居さんは、出発直前まで試作を繰り返しました。

市居馨さん
「これで、ちょっとどうかなと。これを最終形にして」

― はい、これが最終形!
「はい。もう、これでやっぱりいいと思います」

「もうこれ以上、変に触らないほうがいいような気がする」

「やっぱりシンプルなところから、そういうふう(ヨルダン風)にすこしだけアレンジをしてあげると、それが一番食べやすいお好みになるんじゃないかと思いますね」

中根夕希キャスター
「おいしい」

ヨルダンで一行は、料理学校でのお好み焼きの歴史を伝える講義や、地元の人を招いた試食会などを予定しています。

いっちゃん 店主 市居馨さん
「お好み焼きの中身というものは、やっぱり原爆から後の復興を支えてきた原動力になった食べ物なんですよと」

「そういうところがうまく相手に伝わればね、向こうの人にとってもすごく意味のある食べ物になると思うんですけれどもね」

「がんばってきます。行ってきます」

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