大分トリニータ 35歳のベテラン梅崎司が「言葉とプレー」でチームを引っ張る

リーグ最終節を迎え、下平隆宏監督は「ホーム最終戦(大分0-3山形)で悔しい負け方をした。もう一度、皆さんの前でいい試合を見せるには4位になって、(J1参入)プレーオフの初戦をホームで戦いたい」と話した。そして、過酷なJ1参入プレーオフを勝ち上がるためには勢いではなく、「ベテラン選手が落ち着いたプレーでチームを引っ張ってほしい」と期待する。

その一人が梅崎司だ。昨季途中で大分に復帰した35歳は、今季最初の出場機会となったYBCルヴァンカップG大阪戦で負傷退場し、リハビリ生活を強いられた。復帰後は途中出場が続いたが、試合を重ねるごとにコンディションが良くなり8月頃から先発に定着した。「公式戦のピッチに立たないと体は出来上がらない。継続的に監督、コーチが使ってくれたおかげ」と感謝する。もちろんチャンスは自らの実力でつかみ取ったものであり、練習から手を抜かず、努力の積み重ねが形となった。

今は下平サッカーの戦術の肝となるトップ下のポジションに配置され、ピッチを縦横無尽に動き回る。梅崎は「戦術的にしっかりつなぐサッカーなので、どうポジション取りをして関わるのか、その都度オートマティックに判断をしなければいけない。そこは学んでいる最中だが、毎試合発見があり、成長の糧になっている」と手応えを感じている。

調子を上げている梅崎司

梅崎はプレーだけでなく、最年長者として「言葉」でもチームを引っ張る。33節秋田戦からウォーミングアップ前に円陣を組み、魂の言葉を紡ぐ。気合いを入れていこう!頑張るぞ!といった具合の叱咤(しった)ではく、試合の位置付けやベンチメンバーに選ばれなかった選手の思いを熱く語り、仲間を奮い立たせる。J1参入プレーオフを勝ち取った40節横浜FC戦の前には、「相手は自動昇格が掛かっているが、俺たちにとっても大事な試合だ。古巣相手となる下平監督やノム(野村直輝)に大分に来て良かったと思わせようぜ」と声掛けすると、「忘れていますが、(増山)朝陽の古巣でもあります」とツッコミが入った。爆笑が広がり、みんなリラックスして試合に臨めたという。年下からもイジられる梅崎の人柄もチームの雰囲気を良くしている。

「どんな形であれ、チームがいい方向に向けばいい。一番はピッチでどういう存在で、どういうパフォーマンスを見せられるかということ。もっとゲームメークやフィニッシュに関わってクオリティーを上げたい」と梅崎。最終節は結果や内容にこだわり、最高の形でJ1参入プレーオフにつなげる覚悟だ。35歳のベテランの真骨頂はここからだ。

これからの試合で存在感を示したいと語った

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS