うどん酒場 ふじ心 〜 料理を通じて食への情熱やこだわりが伝わる店

JR倉敷駅の南東にある鶴形(つるがた)地区には、「倉敷デパート」という場所があります。

長屋のような建物の中にいろいろなお店が軒を連ねていて、どれも庶民的なお店ばかり。
戦後の赤提灯街を思わせる、風情ある趣です。

そんな倉敷デパートの一角にあるのが「うどん酒場 ふじ心」。

うどんにお酒・一品料理まで楽しめ、地元の常連客から、観光や出張で訪れたお客にまで親しまれているお店です。

うどん酒場 ふじ心の店主は、料理や食への強いこだわりや信条を持っており、どの料理からも店主の情熱を感じます。

そこで、うどん酒場 ふじ心を紹介するとともに、店主の藤田 真示(ふじた しんじ)さんにインタビューをおこないました。

ふじ心は1階にカウンター席・テーブル席があり2階が座敷

ふじ心は入口を入るとすぐ正面に厨房があるので、入店すると店員に元気なあいさつをしてもらえます。

▼店内は、厨房の前にカウンター席が4席。

▼そしてテーブル席は2人掛けが1つ、4人掛けが4つです。

▼またふじ心には2階もあり、座敷で4人掛けが4つあります。

2階座敷

2階の座敷は、最大20名までの宴会にも対応できるそうです。

ふじ心はうどん・居酒屋料理・お酒が楽しめるのが特徴

ふじ心はうどん専業ではなく、「うどん酒場」。
つまり、うどんお酒居酒屋料理(一品料理)が楽しめるお店です。

「ミシュランガイド京都・大阪+岡山 2021」の掲載店でもあります。

決してうどんがメインで、お酒や居酒屋料理が脇役ではありません。
うどんもお酒も居酒屋料理も、どれもが主役です。

営業時間は午後6時から深夜0時30分(ラストオーダー午後11時30分)まで

日曜日は「午後6時から午後11時まで」の営業となります

  • ふじ心でお酒を飲みながら料理を楽しみ、締めにうどんを食べる
  • 別のお店でお酒を飲んで、ふじ心のうどんを締めにする
  • ふじ心でチョイ飲みをする

いろいろな楽しみ方ができるのが、ふじ心の魅力です。

また、ふじ心は食器にも力を入れています。

▼砥部焼(とべやき)や萩焼・備前焼などの食器がありました。

こういったところにもお店のこだわりを感じます。

ふじ心は海外観光客歓迎。無料Wi-Fi完備・コード決済可能

ふじ心の店主は海外経験があるので、海外からのお客とコミュニケーションがとれます。

さらに、無料のWi-Fiを完備していたり、PayPay、楽天ペイ、メルペイ、auペイ、d払い、クレジットカードでの支払に対応していたり、設備も充実していました。

ふじ心のこだわりのメニュー

ふじ心のメニューは大きく分けて3種類あります。

  • うどん
  • 一品料理(居酒屋料理)
  • お酒類やソフトドリンクなどの飲み物

うどんは注文を受けてから切ってゆでるのがこだわり

▼ふじ心のうどんは、2023年10月現在14種類あります。

▼どのうどんも、注文が入ってから麺を切り、ゆでます

▼もちろん麺の生地は自家製

▼注文を受けてから切ってゆでるのは、「小麦の良さを感じられる、できたてのうどんを食べてほしい」という店主の藤田さんのこだわりです。

▼またふじ心のうどんでは、手間ひまをかけてダシを取っています

ダシを通して、藤田店主のこだわりや信条が感じられるようです。

かけうどん

ベーシックなメニューの「かけうどん」。

シンプルだからこそ、ダシの風味や麺の味がダイレクトに伝わります。

▼太目の麺はモッチリとしていて、しっかりとしたコシがありました。

▼ひじょうに透明感のあるつゆ。

食べる前からダシのとてもいい香り。

つゆをすすると、ダシの風味が口に広がり、豊かな香りが鼻から抜けていきました。
そして、日本のダシ文化の良さに思いをはせます。

牛玉カレーうどん

つづいて「牛玉カレーうどん」。

▼カレーの風味のなかに和風ダシの香りを感じます。

牛肉との相性も抜群。

▼麺も存在感があります。

▼玉子は黄味の味が濃厚で、混ぜるとカレーうどんがまろやかに。

この玉子は、店の近くにある玉子専門店のものを仕入れているそうです。

おろしぶっかけ

おろしぶっかけは、冷と温があります。

取材のときは冷を食しました。

▼なんといっても山盛りの大根おろしにビックリ。しかも「鬼おろし」というかなり粗くおろした大根おろしです。

この鬼おろしのザクザクという独特の食感がたまりません。
モチモチの麺との組み合わせは絶妙です。

▼じつはこの鬼おろしは、倉敷市真備町産の竹製おろし器を使ってつくっています。

▼ぶっかけの濃いめのつゆは、あまめの味付けで、倉敷名物のぶっかけうどんの風味です。

▼つゆは麺とよくからみます。

▼薬味がショウガでなくワサビなのも倉敷スタイル。

▼天かすは別皿で出され、自分でうどんへ投入します。

天かすは揚げたてなので熱々、サクサクです。

肉おろしぶっかけ

ぶっかけうどんには、ほかに「肉おろしぶっかけ」があります。
こちらも冷と温があり、取材では温を食べました。

▼山のように豪華に盛られた牛肉がインパクト抜群。

▼しっかりの煮込まれた牛肉は、食べると肉のうま味が口内にじんわりと広がります。

▼ぶっかけの甘めのつゆと牛肉のうま味、麺が調和して、おろしぶっかけとはまた違った味わいです。

▼なお、肉ぶっかけも薬味はワサビで、揚げたての天かすが別皿で出てきました。

ダシにこだわった一品料理

取材時の一品料理

ふじ心は、一品料理(居酒屋料理)を提供しているのも特徴です。

一品料理は、日によって内容が変わります。

別の日の一品料理の内容

ふじ心ではダシにこだわり、力を入れています
だから、一品料理はどれもおすすめです。

なすの揚げ浸し

数あるメニューのなかでも、「なすの揚げ浸し」はとくに注文したい一品。

▼ナスはとてもモッチリとした食感です。

ナスがモッチリした食感になるよう揚げ方を調整しているとのこと。

▼そして、透明感あるダシ。

こだわりのあるダシは、何度も口に運んでしまいます。
ふじ心のなすの揚げ浸しはダシまですべて飲み干してしまう料理です。

サワラの塩タタキ

岡山県でよく食べられる魚介類の代表格・サワラ(鰆)。

▼一切れが厚めなので、食べるとモチモチとした食感を楽しめます。

▼サワラに塩をつけていただきました。

クリームチーズいも天

ちょっと変わり種のメニューが「クリームチーズいも天」。

輪切りのサツマイモの間にクリームチーズをはさんで揚げた天ぷらです。

▼サクサクとした衣とホクホクとした食感のサツマイモの間に、クリーミーなチーズという不思議な組み合わせ。

▼いも天には、抹茶塩または黒蜜をつけて食べます。

▼黒蜜をつけると、デザートのような感覚もして、不思議な感じがしました。

漬けタコ天

ふじ心では、地ダコに下味をつけて揚げた「漬けタコ天」がありました。

▼プリプリとした食感とサクッとした衣の食感が楽しめます。

お酒のおつまみに最適だと思いました。

ふじ心には倉敷界隈ではあまり見かけない銘柄の酒類もある

ふじ心は、お酒の品ぞろえが豊富です。

日本酒・焼酎・リキュール・サワーなどを中心に、さまざまな銘柄がありました。

▼たとえば、「さつま島娘」は鹿児島県の長島の島外で入手困難な銘柄です。

藤田店主の母親の実家が九州にあるため、入手できるとのこと。

ふじ心の料理やお酒の品ぞろえからは、お店の料理へのこだわりの強さや思い入れを感じます。

倉敷デパートという少しわかりにくい場所にありながら、常連客から一見(いちげん)さんまでも訪れるというふじ心。

そんなふじ心の藤田真示店主にインタビューをしました。

店主・藤田真示さんにお店や料理へのこだわりなどを聞きました

うどん酒場 ふじ心の藤田 真示(ふじた しんじ)店主に、お話を聞きました。

インタビューは2019年4月の初回取材時に行なった内容を掲載しています。

ダシへのこだわりについて

──ふじ心では料理に強いこだわりを感じます。とくに何に力を入れていますか?

藤田(敬称略)──

当店の最大のこだわりはダシなんです。

ダシは利尻産と道南産の2種類の昆布をベースにしていて、これに7種類の乾物類をくわえてダシをとっています。

ダシ全体のバランスがよくなるように考えてつくっています。

──一品料理もダシがおいしかったです。どのような工夫をしていますか?

藤田──

一品料理のダシにもこだわっていますよ。

肉厚の昆布をつかったおでんもあります。

肉厚の昆布は、二番ダシまでしっかりでるので、おでんにも使っているんですよ。

うどんの麺へのこだわりについて

──うどんの麺へのこだわりはありますか?

藤田──

当店の麺は、小麦の香りを感じられるように、北海道産の小麦粉をベースにブレンドしてつくっています。

また当店では、注文を受けてから麺を切ってゆでているのもこだわりですね。

一番おいしい状態でうどんを食べてほしいので、注文を受けてから麺を切って茹でています。

──小麦粉のほかにも工夫などがあるのでしょうか。

藤田────

小麦粉のほかでは、がありますね。

水はすべての料理のベースになります。
だから、浄水器選びにこだわりました。

お酒へのこだわりについて

──ふじ心ではお酒類も提供されています。銘柄の品ぞろえなどに特徴はありますか?

藤田──

お店にお酒もせっかく置くのだから、お客さんに楽しんでもらえるような商品を置くことにしています。

お酒の銘柄は定期的に入れ換えているんですよ。

それに、お酒の試飲会などにも定期的におもむき、そこでよいなと思うものがあれば、仕入れています。

このあたりでは当店のほかにあまり見かけない商品もありますよ。

うどん酒場という形態について

──ふじ心は「うどん酒場」をかかげています。うどん酒場という形態にした理由はありますか?

藤田──

ひとつは、うどんをつくるのにしっかりとした時間を取りたいためです。

自分の料理に対するこだわりを伝えたいと思っていますが、そのためには調理時間が必要になります。

ほかの理由は、私がお客様と交流したかったからです。
お客様といろいろな話をするのが、楽しくて好きなんですよ。

メニューについて

──メニューが現在のようなラインナップになったのは、なにか経緯がありますか?

藤田──

幅広く客の好みに応えられるようなうどんのラインナップにしました。

現在は、ベーシックな料理が中心のメニューですが、今後は創作料理も増やしたいなと思います。

ほかに、居酒屋料理や宴会料理にも力を入れたいと考えています。

倉敷への思いなど

──倉敷に対する思いなどをお聞かせください。

藤田──

私は倉敷の児島地区出身で、倉敷は生まれ育った場所なので、愛着があります。

海外経験を生かして地域を盛り上げることで、倉敷に貢献したいですね。

また、海外観光客も気軽に来てコミュニケーションをとれる店にしたいです。
そして、倉敷の路地裏を活気づけて、人が集まるようにしたいと思います。

おわりに

うどん酒場 ふじ心では、藤田店主の食への信条やこだわりが詰まった料理を食べることができます。

安心して食べられる食材えらび、お客に楽しんでもらいたいという思い、おいしいものをつくるための努力など、妥協はありません。

うどん酒場 ふじ心を訪れ、ぜひ藤田店主の信念の詰まったうどんや一品料理を食べて、藤田店主の食への深い思いを感じてみてください。

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