閉館した西武福井店新館の敷地、マンション建設大手に売却 一時は総合レジャー施設誘致の動きも

福井駅西口三角地帯の再開発エリア

 そごう・西武が撤退し閉館中の旧西武福井店新館ビル(福井県福井市中央1丁目)を所有する不動産会社が、マンション建設大手の長谷工コーポレーション(東京)と敷地の売買契約を結んだことが10月20日分かった。不動産会社によると、マンションを中心に商業スペースを含んだビルに建て替える計画が進んでいる。

 1971年に「パルビル」としてオープン以降、西武福井店とともに県都の商業やにぎわいの核を担ってきた拠点が、大きく様変わりすることになる。

 ビルを所有する不動産会社の順栄興産(同市順化1丁目、広田一雄社長)が9月下旬に売買契約を締結した。順栄興産はビル解体時期や建設のスケジュールは未定とし、「建て替え計画の具体的内容は今後協議していく。周辺にも協力いただき、まちのにぎわいにつながる計画にしていきたい」としている。

 旧西武新館を巡っては、そごう・西武の親会社セブン&アイ・ホールディングスが近年の営業不振を理由に昨年2月末に閉鎖した。閉鎖後、順栄興産は商業ビルとしての再開を目指してきたが、新型コロナウイルス禍でテナント誘致が進まず、老朽化による維持管理費も重く、再開を断念。建て替え計画の提案を公募していた。

 同社によると、不動産デベロッパーなど複数社から提案があり、計画の実現可能性などを総合的に判断して長谷工に決めた。総合レジャー施設誘致の動きもあったが、提案した事業者側が断念したという。西武福井店と結ぶ連絡通路は撤去する方針で、今後ビル解体や建設のスケジュールを調整していく。

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 福井県と福井市は本年度、「県都まちなか再生ファンド」を創設。旧西武新館ビルを含む福井駅前電車通り南側エリアは、建て替えや共同建て替えなどに対する補助制度を設けている。県産業政策課は「旧西武新館ビルの建て替えが景観整備やにぎわい創出などのファンドの要件に該当するならば支援する」としている。建て替え計画の伸展によっては、南側エリア一帯の再開発に弾みがつく可能性もある。

◇旧西武福井店新館ビル 1971年建築で地下1階、地上8階建て、延べ床面積約1万4910平方メートル。敷地面積約2180平方メートル。当初は「ファッションランド・パル」(通称パルビル)としてオープンし、ジャスコ(現イオン)を核テナントに約30店舗が入居したが、92年に全テナントが立ち退き閉鎖。その後、順栄興産(福井市)がビルと土地を買い取り、西武側に“1棟貸し”する形で99年に新館としてオープン。2021年2月末、営業不振を理由に閉鎖した。

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