寺田稔総務大臣 野党が追及も強気の姿勢崩さず 自身が関係する政治団体めぐり連日質問攻め

国会の予算委員会では、寺田稔総務大臣(衆院広島5区)が野党による追及の的となりました。

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いったい何を揉めているのでしょうか。

追及のネタになっているのは主に2つです。(1)寺田大臣が関係する政治団体が妻に事務所の家賃を支払っている、(2)政治団体の人件費の扱い(事務所スタッフと源泉徴収が必要ない請負契約を結んでいる)

(1)”妻はきちんと納税しているのか?”

寺田大臣が代表の自民党広島県第5選挙区支部と寺田稔呉後援会は事務所の家賃を寺田氏の妻に支払っています。寺田大臣によるとその合計額は2012年から2021年にかけて2688万円。近年はそれぞれ年額120万円です。

野党が追及したのは、この賃料を妻が納税しているのかということ。

証明するため寺田大臣に対して確定申告書の提出を要求しました。

寺田大臣は個人情報で非開示対象だとして拒絶。顧問税理士による確認書をすでに野党側に示していると釈明したうえで、「私自身、通帳を見せてもらい申告書も確認した」と理解を求めました。

(2)請負契約への疑念

寺田大臣は、常勤でない事務所スタッフとは源泉徴収を必要としない請負契約を結んでいるとしています。この場合、納税手続きはスタッフ側が負うことになります。野党側は税逃れにつながるのではと疑問を呈してきました。

請負契約の妥当性が問われるなか、寺田大臣は、仕事の内容は広報活動や看板設置など「典型的な請負契約」で問題はないと説明。人件費に計上することが問題ないことは総務省にも確認しているとしています。

この人件費の出所とされているのが、妻が代表の政治団体「以正会」。収支報告書には、毎年500万円あまりの人件費が記載されています。この人件費をスタッフへの請負契約の報酬に充てていると寺田大臣は説明しています。

予算委員会では、こうしたやりとりがありました。

【10月17日衆議院予算委員会】
立憲民主党 逢坂誠二議員
「正式に給料をもらって税金も引かれ社会保険料も引かれる職員、秘書の方々に請負のお金を上乗せして支払っている実態はないか」

寺田大臣
「そうした実態はまったくございません。常勤の支部職員とまったく別の人に対して支払ったものでございます」

野党が疑念を示したのが「以正会」の人件費が、選挙区支部職員(私設秘書)の給与の上乗せに使われているのではないかというものです。

寺田大臣は「常勤雇用の選挙支部職員と請負者への支払いは峻別している」と強調。人件費の記録を予算委員会に提出してもよいと応じました。

【10月19日参議院予算委員会】
寺田大臣
「何度も申し上げている通り、適正適法に処理をしております。したがってきちんと説明責任を果たして政治資金規正法も税法についてもまったく問題ないこと、説明責任を果たしていく決意でございます。」

また、一連の追及の中では、寺田大臣の確定申告を任せている税理士が、寺田大臣が関係する政治団体の資金監査も行っていることが判明。総務省の政治資金適正化委員会は「政治資金監査に対する国民の高い信頼を保つ観点から望ましくない」としています。この指摘についても寺田氏は「問題ない。ケースバイケースの判断」としています。

政治資金を所管する総務大臣であり、さらには財務省出身者ということで厳しい目が向けられる寺田大臣。野党議員から「説明が上手」という声が漏れるほどよどみなく答弁し、追及をかわした感があります。いまのところ野党の攻撃に対して、強気の姿勢を崩していません。

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