中学生が自分の田んぼで米栽培 将来は「レストラン開きたい」 大田原

ササシグレを収穫した阿久津さん(前列中央)と同級生ら

 栃木県内一の米どころで、市場流通が少ない「ササシグレ」の自然栽培に取り組んでいる中学生がいる。大田原市の親園中3年阿久津結花(あくつゆうか)さん(15)だ。4年前に宇田川の自宅の田んぼで作り始め、昨年産米は自然食品を扱う店でも販売。このほど収穫した新米はおにぎりとしても販売予定で、阿久津さんは「大人になったらレストランを開き、自分が作った米を食べてもらいたい」と夢を膨らませている。

 米農家に生まれた阿久津さんは小さい頃から農作業に興味があり、小学6年時に自宅近くの約1.5アールを自分用の田んぼにして米作りを始めた。「米は原種に近い方がおいしい」と、品種はササニシキの親に当たるササシグレを選んだ。

 取り組んでいるのは無農薬、無肥料での自然栽培。苗作りからこだわり、手植えをした後は毎朝約1時間田んぼに入り、専用の農機具を使って除草した。稲は手刈りし、天日干しするためにはざ掛けした。田植えと稲刈りなどには同級生らが楽しみながら協力。稲穂は今年もたわわに実り、阿久津さんは「苦労して育てて収穫した達成感がある」と笑顔だ。

 ササシグレはアレルギー症状が出にくいなど体に優しいとされる。昨年産米の一部は「結」と名付け、自然食品を取り扱う店で販売。購入者の評判も上々で「知らない方に褒めてもらいうれしかった」。本年産の新米はおにぎりにしてキッチンカーなどで販売する計画も立てている。

 米の食味を競う国際大会で最高金賞の受賞歴がある祖父正徳(まさのり)さん(72)、父政英(まさひで)さん(43)の影響などを受け、「世界一おいしい米を栽培したい」と始めた米作り。4年間の取り組みを文章にまとめ、9月に宇都宮市で開かれた「県少年の主張発表県大会」では最優秀賞に輝いた。

 大好きな米作りを通して実感しているのは、人との輪が広がっていく喜びだ。阿久津さんは「来年は作付面積を増やし、米粉でお菓子作りにも挑戦したい。普段は農業を知らない人に農作業の楽しさも伝えられれば」と話している。

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